東日本大震災と福島原発事故

素人の憂える真実シリーズ 東日本大震災と福島原発事故
 昨日(震災1ヶ月後の2011年4月11日)は、川崎国際で年2回開催してきた「ハッピー会」のゴルフでした。今年は寒冬のせいで、10日遅れの満開の桜吹雪、晴天にも恵まれ、ゴルフ日和でした。
「ハッピーな時で無い」とか言わないでください。20年位前に付けた会の名称です。被災者には申し訳ありませんが、我々年寄りにできる事は、僅かながらの義援金と日本経済を落とさない為にも、普通の生活を続ける事しかないかもしれません。

1.日本は地震と津波の巣
 日本列島には、東から太平洋プレートが年10cm位で西に動き、深さ10数kmの日本海溝から斜めに沈み込んでいます。日本列島側は静岡糸魚川構造線(ホッサマグマ)から東側は関東・東北・北海道・千島列島からカナダへ続く、北米プレートに乗っています。その北米プレートは、奥尻・佐渡島以西のユーラシア大陸と押し合っています。
 GPS測定では、震災後、東北沿岸は5m位東にずれ、50cm位沈降したそうです。太平洋プレートも海底で10数m西に動き、約100年分のプレートが動いた事になります。丁度、明治三陸沖地震から120年程度経過しています。更に、福島沖の海底の測定機器や、地震波の解析で、今回の地震で25~30m滑った所もあった様ですので、400年分が一度に動いた場所かもしれません。また、今回の地震の特徴は、まず、岩手沖で14:26にM6.6の地震が発生し、20分後の14:46に宮城沖でM8.8(後にM9.0に修正)の本震、その30分後の15:15に福島沖でM7.4と海溝のずれが進み、最初の津波に、後ろからの津波が乗り上げ、より大きな津波になったのかもしれません。M(マグニチュード)は1大きくなる毎に10倍ですので、最初の地震は、それ程大きくなかったのかもしれません。
 段々と震源が南に移動していることから、今度は千葉県沖とのニュースも流れましたが、私の記憶では、6年位前に既に千葉県沖で巨大地震が起こったらしいと言う記事を見た事があります。この際は、数mがゆっくり(10分程度?)滑った事で、地震も津波も発生せず、学者の間では、サイレント地震として話題になっていました。このサイレント地震は地震の震度が小さくても巨大な津波を発生させる場合もある怖い現象だそうです。
 津波の性質は海の波と同じで、水深が深いほど早く、水深が浅くなると遅くなり、陸に近くなると波が高くなって崩れます。更に、三陸海岸の様に広い湾から狭い陸地に入ると、水の行き場が無くなり、更に波が高くなります。今回の津波ではリアス式の町で海抜40m近くまで海水に漬かった所があるそうです。そんな被災地(陸前高田)などで、仮設住宅建設用地が無くて困っているそうです。津波の被害を受けた市街地の瓦礫を撤去して、仮設住宅を建てるべきです。山を平らにして、道路、電気、水道などのライフラインを作る時間はありません。大きな津波は、今後、数10年は来ません。一方、数100年に一度は大きな津波が必ずきます。津波跡地は、特別立法で国か自治体が全て買い上げ、仮設住宅を建て、その後、避難道路や避難塔等を整備し、漁業施設や田畑などに、リスク承知で貸出すのが良いでしょう。(なお、宮城県では、津波跡地に仮設住宅を建てない方針を出しています。)孫の代まで考えて、恒久的な集落は高台に移すのが良いと思います。明治三陸津波で被害を受け、高台に集落ごと移し、今回の津波を避けられた集落が宮古市などに有るそうです。
 今回の地震では、潮来や浦安市が液状化で被害を受けました。地震波は固い地盤では早く、柔らかい地盤では遅くなり、反射やレンズの様な作用が起こります。霞が浦の柔らかい地盤で屈折した波が浦安市に焦点を結んだ可能性も考えられます。この様な事例は、300km離れた地震(1985.9.19)で壊滅したメキシコ市やサンアンドレアス断層でサンフランシスコ対岸のオークランドに大きな被害がでた例などがあります。

2.福島第一原発事故
 東日本大震災の翌日、「福島原発の冷却が止まり、別の冷却系の復旧を進めている」と言う簡単な報道で、私には、特に危機的状態とは思えませんでした。水を10m以上汲み上げる事は物理的に不可能です。必ず、低い所にポンプがあって、取水した水を上に押し上げているはずです。その揚水ポンプが津波で流された事は充分に想定できました。
 20日以上たって、津波の大きさは14~15mで、海抜10mの発電所敷地にある全ての施設が4~5m冠水したとの発表ありました。更に、建屋の地下にあった非常用電源のジーゼル発電機が水没し、地上にあった発電用の燃料タンクも全て流されたそうです。
 通常、原子炉は加圧容器の核分裂熱で280℃程度の水蒸気を作り、それをタービンに送って発電し、その蒸気を海水で冷やして加圧容器に戻し、循環させています。その高圧容器に消防用車から海水を注入できたのは、まず第一歩目の幸いと思います。注水と言うと「じょうろの様なものでも注げる」かもと思われますが、もし加圧容器のどこかの弁を開けたら、タービンを回せる位の放射性物質を含んだ高圧蒸気が噴出する事になります。
 震災の翌12日には、1号機、3号機が続けて水素爆発して、大量の放射性物質を放出した事は間違ありません。しかしその後、屋根の無くなった使用済み核燃料プールに放水する映像がテレビに流れ、安心していた人々が多かったと思いますが、とんでもない。一番深刻なのは、15日朝に圧力調整室が破損した2号機でしょう。圧力容器が破損して、内部の圧力が下がると沸点が下がり、内部の冷却水は一瞬で水蒸気になり、炉心溶融からチェルノブイリと類似の爆発事故になった可能性がありました。私もそれを一番心配しました。なぜ、そうならなかったのは今でも不思議で、二つ目の幸運だった他はありません。
 アメリカは、自国民に80km圏からの避難指示を勧告しましたが、日本では単純に切りが良い50マイルが80kmの根拠であろうと報道していました。アメリカは4月になって、「2号機の炉心溶融を予測した」為と白状していました。
 2号機の危機を招いたのは、東電の責任も大きいと思います。何故なら、1、3号機の水素爆発後も、2号機の海水注入は行わないで、幾つかある自力の冷却機能を使い続けていました。私の勘ぐりでは、海水を注入すると廃炉が避けられないので、延命策を取った為と思われます。震災の翌日に、アメリカからのホウ素などの冷却材やポンプ車、専門家の派遣を一旦断ったのも、何かその様な思惑を感じます。
 また、外部電源の復旧の話も10日位経って出てきました。東北電力に頭を下げたくなかったのか、原発建設時に東北電力から受電していた時の電源が数100mの所にある鉄塔まで来ている事に気が付かなかったのでしょうか。
 また、素人の私でも、注水したり放水したりした水は「何処に行くのか」と疑問を持っていましたが、関係者は気が付かなかったのでしょうか? 半月位たった後で、トレンチと言う作業用通路(深さ15mとか)から見つかりました。東電や国のお粗末さを感じます。

3.放射性物質と退避勧告
 4月12日に、福島原発事故は、チェルノブイリ事故と同じ「レベル7」に引き上げられました。しかし、現在の所、放射性物質の放出量はチェルノブイリの1/10と発表されています。一番沢山の放射性物質を放出しているのは、2号機と思いますが、今の所、大半がトレンチと言う作業用通路の汚染水中にあり、一部が取水口付近のピット下のひび割れから海に流れたと思います。それでも、周辺の大気中に放出された放射性物質は、1、3号機の格納容器からのベントと呼ばれるガス放出や水素爆発より、2号機の圧力調整室の破断時にでた様です。
1号機の格納容器爆発で、事態の深刻さを知り、政府は20km以内に退避命令、30km以内に屋内退避(以後、自主避難)の指示をだしました。
 私の天気感覚では、幸いな事に爆発当日とその後の数日は北西の風で、汚染気体は海の方に流れていたと思います。しかし、3月15~16日頃に、太平洋側を低気圧が通り、一時的に南東の風が吹き雨も降りました。この風に乗った福島第一原発上空の放射性物質が飯館村から福島市方向に向かい、土壌に堆積したと思われます。政府は4月11日になって40km近く離れた飯館村などを「計画的避難地域(急がないが何れ避難しなさいとの意味らしい)」としました。これは、この地域の屋外に1年間いると20mmシーベルトの被曝量になるからとの事です。一方、原発の復旧にあたる作業員は100mmシーベルトを限度に作業などをさせられています。
この放射性物質の拡散予測を3月20日頃に一度だけ、気象庁の放射性物質拡散予測シミュレータ(SPEEDII)の情報として報道されました。この結果と4月12日に政府が放射性物質実測結果として発表した値が、殆どぴったり一致したのはなぜでしょうか。また、気象庁の予測情報は、毎日ネットで見られるのに報道されないのはなぜでしょうか。政府や官僚の縦割り組織や縄張り意識の弊害としか言えません。
また、福島県や茨城県産のほうれん草とかき菜から残留放射性ヨウ素が2000ベクレル/kg、福島県の原乳から300ベクレル、東京の金町浄水場の取水口で100ベクレル(1歳未満の乳幼児のみ)など、食品の暫定基準を超える値が検出され、出荷や摂取制限がでました。この値も、全ての食糧がこの値を超えなければ、年間被曝量が20mmシーベルトを超えない値だと説明しています。しかし、空気、地面、水、食糧の全ての積算で超え無いと言うには若干、無理がある様にも思います。
日本人は通常環境で、年間、数mmシーベルトの放射能を浴びています。大気圏外からの宇宙線、広島や長崎の原爆、世界各国の原爆実験などで残留している半減期の長い放射性物質でしょう。また、癌の放射線治療では50mmシーベルト程度被曝するそうです。
一方、医療技術が進歩した今日、逆に、生涯で癌が原因で死亡する人が30%とも言われています。その原因は喫煙が1/3、アスベストなどの発がん物質が1/3、残りが自然界の放射線かもしれません。チェルノブイリ事故の経過観察などから、放射性ヨウ素が原因で10代以下の子供の甲状腺癌は多発したものの、直接大人の癌が増えたとのデータはでていないとの事(本当かは疑問)です。広島原爆の直後に黒い雨が降ったと聞きました。何万倍もの放射性物質が地面に有ったと思います。数週間以内に知らずに被爆地に入った人々も被曝しています。大半の人は癌になっていませんし、被爆者扱いにもなっていないと思います。
したがって、年間100mmシーベルト程度の被曝でも、癌になる可能性は、生涯で0.5%アップ、即ち生涯癌死亡率が30%から30.5%に増える程度で、原因が自然被曝か人為的被曝か区別できない程度なの様です。政府の発表した「直ちに人体に影響が無い」と言う意味はこの事だったのです。
今後、原発がより深刻な事態にならない限り、放射能汚染した田畑の方は、放射性ヨウ素の半減期が8日ですので、数ヶ月すれば殆ど問題なくなるでしょう。一方、半減期30年の放射性セシウムは、水溶性ですので、大雨が降れば、殆どが川や地下水から最終的には海に流れて行く事になり、1年程度で農作業や作付・収獲・出荷に影響の無い値になると思います。しかし、風評被害がどの様に続くのか収まるかが、むしろ心配です。
海への放射性物質の流出も問題になっていますが、次第に深さ平均3000mの広大な海に拡散しますので、全く問題ないと思います。昔のビキニ環礁などでの原爆実験の方がより沢山の放射性物質を海にだしています。
そんな事から、私の意見では、政府が強制的に避難指示をする事は止めるべきです。避難者の人生を破壊するのは罪です。癌は最初の細胞が癌化した後、10~20年掛かって大きくなります。初期に見つければ99%以上が治ります。特に老人は老衰による死の方が早いと思います。それよりも避難生活で通常の生活や活動ができない方が辛いと思います。将来、政府は避難しなかった人に、勝手に避難しなかったのだから保証も何もしない等とか言わないで、生涯の癌検診費用などを保証する方か正しいと思います。
しかし、妊娠の可能性のある女性は、一生の排卵予定細胞が既に卵巣にあるそうですから、奇形児出産の可能性を考慮しなければなりません。男性の方は、精子に短期の影響があるかもしれませんが、常時新しい精子が睾丸で作られますので、影響は少ないでしょう。更に、遺伝子異常は出産前にも検査できる時代になってきています。

4.計画停電と将来のエネルギー
私達、関東南部に住む人たちは、東日本大震災の後もあまり関係ないと「たかをくくって」いました。しかし、3月14日からの計画停電の報道であわてました。私も当日の朝に近所の食品マーケットに行き、開店前からの行列に並び、レジでも1時間ほど並ぶ羽目になってしまいました。
大震災で福島原発の他、鹿島や扇島(川崎)の火力発電所の停止で、供給量が2/3程度(3400万kw程度?)に落ちたそうです。東電はあわてて5グループに分けて計画停電を実施すると発表しました。最初の日は、鉄道に大きな影響がでました。新幹線以外の電車は直流1500Vで動いていますので、特定の変電所で直流にして線路沿いに配電しています。したがって、電車は動きますが、踏切、駅の照明や自動改札など地元の電力を使っている所もあり動かせなかったからです。政府が「鉄道に影響の無い計画」を東電に要請した結果、15日からは計画停電エリア内であっても、鉄道沿線沿いの一般家庭は停電しない等、不公平感が否めない結果となりました。
また、今年の春は異常に寒く、暖房需要が多いと予想され、3月末まで計画停電の影響を受けました。その後、幾つかの火力発電所が復旧した事もあり、4月から夏の冷房需要までは「計画停電無し」と発表されています。
電気は今現在、多量に保存する手法は無いと考えて良いと思います。したがって、夏のピーク時には1000万~1500万kw不足すると予想されています。そこで、東電は企業や工場の昼夜間シフトや平日休日のシフト勤務などを依頼しようとしています。
一方、工場や病院などの非常用電源が都内だけで1800万kwあると言われています。停電時の非常用電源を普段から使える様に、今から準備する必要があります。非常用電源で発電した電力を東電が買い上げる事は、50ヘルツは合わせられても、殆どの非常用電源機器は位相を合わせられないでしょう。六本木ヒルズでは現在でも、余剰自家発電電力を東電に売っているそうです。位相を合わせる技術があるなら、今から準備すれば、ピーク時のみ民間の非常用電源から買い上げる事が可能かもしれません。
一方、東電では冷蔵庫や冷房の設定温度を上げるなど、節電を依頼していますが、問題は夏季のピーク時です。猛暑の時間帯の冷房が問題です。高齢者は計画停電や冷房断で、熱中症で死亡するかもしれません。公共の体育館や施設は節電を理由に真っ先にクローズするかもしれませんが、逆に、各家庭の冷房を止めて近くの公共施設などに集まる方が、節電になるかもしれません。また、正確な計画電源計画を発表して、その時間帯は停電の無い地域のデパートなどに行かせるのも、逆に、経済効果にとって良いかもしれません。
今回の福島問題で、将来のクリーン・エネルギーとしての原発推進気運に、一気に世界中でブレーキが掛かりました。アメリカの9.11以来、原発テロ対策として、原発の電源喪失を避ける複数の外部電源確保を勧告していたそうですが、日本の電力会社は無視してきたそうです。また、5~6年前の国会質問で、共産党が福島原発の津波の危険性を指摘したそうですが、当時の自公与党は、いつもの「在り来たり」な答弁でお茶を濁したそうです。
想定外の地震や津波は今後も必ず起こります。特に、東日本の地震に誘発されて中越地震が何回も起きています。特に、「肝を冷やした」のが3月13日夜の富士山南麓(三島付近?)の地震でした。この地震が東南海の巨大地震を更に誘発する可能性があったからです。
昭和44年に発足した「地震予知連絡会」は、巨大な予算を投じて、静岡県沖などに地震観測設備を設置し、10数年後「地震の予知はできない。なぜなら巨大地震も小さな地震から誘発されるので、正確には予知できない。」と言って、予知は火山活動に限定してしまいました。当時から、東北よりも東南海の方が先に来ると言われていました。最近、東南海に地震が少ないのが、より気になります。地殻が応力を貯めれば貯めるほど巨大地震になるからです。
浜岡原発は静岡県御前崎の西数kmにありますが、最大津波を10mと予測して建設されています。福島の事故から2m位の防潮堤を作る計画を策定中と聞きましたが、東南海地震は、明日起こるかもしれません。直ちに停止して置く方が無難です。
原子力発電所は地震や津波だけではありません。アメリカが警戒するテロもあります。テロの航空機が命中しても危ないです。北朝鮮のミサイルでも、ピンポイントで原発を狙える技術はあるでしょう。例えば、日本海側の高浜原発をめがけて、数10発のミサイルが同時に発射されたら、迎撃ミサイルで全て落せるとは限りません。また、確率は低くても、隕石が命中する事が絶対無いとは言い切れません。
原発推進派は、「クリーンで安い電力は原発のみ」との神話を作ってきました。「事故は有ってはならない」とその費用は計算に入れず、使用済み燃料の最終処理や廃炉の解体処理費も低く見積もっていた様です。
水力もだめです。今回の震災で、海岸から60kmも離れた須賀川市で、津波跡地の様な光景が報道されました。農業用水池の堤防が決壊して10km下の町を襲い、家を流し死者もでたそうです。地震国日本でダムが壊れれば、深刻な事態になります。その時、「想定外」と言うのでしょうか。
そんな事で、一時的に火力発電にシフトするのはやむを得ないかもしれません。しかし、石油や石炭の埋蔵量には限界があります。石油はプラスチックなどの化学製品の材料にも必要です。燃やしてしまうのはもったいないでしょう。地熱・潮流などのエネルギーを有効に活用すべきと思います。太陽光発電は日照によって不安定で使いにくい様ですが、電気自動車の普及により、スマート・グリッドと言う電力網が提案されています。電気自動車のバッテリーに自宅の太陽光パネルから蓄電し、電力のピーク時に電力会社に高価で売り、深夜の余剰電力で電力会社から返還してもらう等のシステムです。電力会社も過去の独占とエゴにこだわらず、この様なシステムを受け入れる必要が迫っています。
もっと先の提案として、雨の降らないアラブの砂漠に大規模な太陽光発電所を作り、海水から真水を作り、地元の農業を普及させると同時に、その電力と水から、水素からメタンなどの有機物を製造して、タンカーで世界中の都市に分配するなどの技術開発が待たれます。人類は必ずやり遂げると信じています。

5.日本経済沈没と食糧危機
 震災直後に、為替相場が瞬間的に76円/ドルの円高になりました。ヘッジファンドなどの投機筋が、日本の保険会社が「ドル資産を円に替える」と読んだ為だそうです。世界各国が協調介入して、直ぐに80円台に戻りました。一般に、災害などで経済活動が低下した国は通貨安に動くはずですので、全く逆の現象でした。しかし、今後、世界もその事に気が付き、深刻な円安に見舞われると思います。リーマンショック前の120円/ドルから80円/ドルになった時、世界から見て(ドル換算で)日本の財産(不動産、給料、年金、在庫など)は労せずして1.4倍になった訳です。円安では、財産が目減りし、燃料や食料などの輸入品の価格が上昇します。日本人にダブルパンチが加わるのは必須です。
東日本大震災は、日本の経済に大打撃を与え続けそうです。東北地方の部品供給が一時止まったため、中部から西日本のみならず、世界中の自動車生産が一時止まりました。インドは日本の食料品に全面禁輸(その後解除?)、中国も静岡・長野以東の農産物の輸入制限を取っています。観光日本を目指し、少しずつ実績を上げた矢先、外国人観光客ばったり止まりました。また、地震の影響で東北地方の旅館予約が殆どキャンセルされました。更に、日本全体の自粛ムードからか、大分県別府温泉の予約も半減したそうです。何とビールの出荷高も10%減だそうです。某ビールの仙台工場が一時休止した影響もあるそうですが、日本中の自粛ムードで、今後しばらく回復しないかもしれません。
などなど、日本の今年度の経済活動(GDP)はビールとほぼ同じ、10%減となりそうです。政府はまだ気が付かないかもしれませんが、今年度の法人税は、リーマンショック後と同じ、6兆円減と予測します。
日本の国と地方自治体の借金(国債、地方債)は、千数100兆円になります。一方、国民の預金がそれ以上(1500兆円とか)あるから問題ないと言われてきました。しかし、税収と同額位の赤字国債を出し続けるとギリシャと同様に国が経済破綻します。私は6年先位と思っていましたが、今回の震災で2~3年位前倒しになるでしょう。国や自治体は、今年度6~10兆円位の復興債を発行する必要がありそうです。東電も数兆円の賠償金を借金する必要があります。被災地の企業や個人は貯金を取崩したり、借金して生活を取戻す必要があります。更に、老齢化が進んだ今日、全国の年金生活者は各自の貯蓄を取崩して、生活に廻し続けています。そんな事で2年後位には国債の金利も上がり、円安・物価高のインフレ・スパイラルに陥るかもしれません。
一方、日銀は震災後直ぐに、50兆円の金融緩和を発表しています。デフレスパイラルに歯止めを掛ける為に、ここ数年、国民が望んできた金融緩和ですが、ドル安基調を望むアメリカに気兼ねしてか、日銀はなかなか重い腰を上げませんでした。一部の評論家からは、政府のドル建てアメリカ国債を担保に、政府の復興補正予算の原資として、復興債を日銀に買い取ってもらう案もでています。(アメリカ国債が政府の財産であるかは疑問、大半が日銀や市中銀行の資産かもしれませんね。)いずれにせよ、日銀が買うと言うことは、勝手にお金を印刷する事です。これはインフレを誘発し、通貨の暴落もきたすので、禁じ手となっています。しかし、過去の戦時下では沢山の国がやった様です。
10万戸の仮設住宅が必要とされています。既に、建築資材、特に木材の輸入が近々の課題です。復興資材の不足から色々な資材の値上がりが避けられないでしょう。
福島を中心とした関東一円の農産物出荷制限も物価を上げるでしょう。青森・岩手・宮城・福島の太平洋岸で、日本の漁獲高の1/3を占めていたそうです。これ等の県の登録漁船1万数千隻の内、残っているのは1千隻弱と報道されました。茨城・千葉の漁師も海の放射能汚染や風評被害で、漁を取りやめています。今後、魚の値上がりも進むでしょう。秋田・山形のニワトリも八戸港からの輸入飼料が途絶えた為、何百万羽も餓死したそうです。鳥類の遺伝子には飛ぶ為に体を軽くする因子があり、エネルギーを貯められないそうです。
今後、私達の食卓にも影響がでてくるのは確実です。「貧乏人は風評被害品を食え」などのジョークがでるかもしれませんね。しかし、私の警告したいのは、本当の食糧危機が直ぐそこまで迫っている事です。食料自給率が40%と言われている日本で、震災で貧乏になった日本人が、お金を幾ら出しても食糧・飼料の輸入ができない事態になりそうです。
今年になって、アラブで民衆暴動が多発しています。その根本的原因は、小麦価格の高騰でパンが食べられなくなった民衆の切なる叫びだそうです。昨年のロシアの干ばつ、オーストラリアの洪水などで、世界的に小麦の供給量が減ると知った投機筋が、小麦・大豆・トウモロコシの先物買いに走った為、穀類の先物取引価格が2倍に跳ね上がったそうです。日本では輸入小麦の大半を政府が買い上げ、政府卸価格は年1回変わる様になっているので、私達はまだ実感していません。政府は今年4月に18%引上げると発表していましたが、震災後の影響を考えて延ばしているでしょうか。3~4年前には、立食いソバが40円値上げされ、パンも1割位値上がりしましたよね。
更に、アラブの紛争で、原油の先物取引価格も上昇の一途を続けています。最近、ガソリンも150円/リッターを超え、数年前の180円/リッターが再現しそうです。他方、中国の食料品価格も軒並み値上がりしているそうです。中国でも暴動が起こってもおかしくない状況です。共産党独裁政権は暴動を抑えるため、中国からの食料品輸出を全面的に禁止するかもしれません。元々、14~15億人とも言われる中国で、富裕層が1割増えれば、日本人1.2億人分位の肉や魚が余分に消費されるでしょう。既に、世界中の人々が満足に食べられる食糧は地球上には無いのです。ただ、日本が金持ちだから集まって来ていたのです。
TPP環太平洋パートナーシップで、日本の農漁業は壊滅すると騒いでいる団体がありますが、10年後までに日本の食糧自給量を倍増しなければ、日本人は食べて行けないのです。震災の復興計画にはこの様な食糧自給の未来思考も必要と考えます。
以上

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