イスラム国は何処へ行く?(素人が憂える真実シリーズ)

イスラム国はどこへ行くか?
菊池 喜康 2015.02.20
 日本人人質問題が報じられてから、いわゆる「イスラム国」の報道が再び活発になった。しかし、世界各国の政治家の言動やその報道を聞いていると、なぜか「上から目線」で、イスラム教徒や各国の底辺の人達の「気持ち」を理解しているとは思えない。
「イスラム教徒は悪くない。差別や軽蔑が悪い!」と謙虚に理解し、行動しない限りは、この「世界規模の問題」は解決しないと思う。皆が、心では解っていると思っている「人種・民族・宗教・性別」の差別をなくすだけの事だ。

1. 人質の殺害警告
今年(2015年)1月20日、「湯川さんと後藤さんの殺害予告と2億ドルの身代金を要求する」との画像がYouTubeに流れた。前日安倍首相が「イスラム国と戦う周辺国へ2億ドルの経済支援をする」と演説した後、次の訪問国のイスラエルに到着した時であった。そこで「卑劣な犯罪だ!直ちに解放を要求する」「人道支援だ!難民支援だ!」と言っていたが、そんな言い訳が通用する相手ではない。
 昨年8月に、湯川さんは、シリアの反政府軍に拘束されたそうだ。湯川さんは、「民間軍事会社」を立ち上げ、戦闘の訓練と称して、銃を持ってシリアに入った。拘束された時、「私はジャーナリストだ!」と言い訳したらしいが、多分「アメリカの傭兵かスパイ」と思われたに違いない。その後、後藤さんは、湯川さんの通訳として、仲介に勤め、解放された経緯がある。後藤さんは、戦争被害者や難民の立場に立って報道してきたジャーナリストで、世界の数万人の人々から「I Am KENJI」と救出活動が起こった。湯川さんが「しようもないガキ」とすると、後藤さんは「立派な大人」と言える。イスラム国側も最後まで、生き延びさせたいと思っていたかもしれない。実際に、後藤さんが掛けていたイギリスの保険会社の仲介で、釈放寸前まで進んでいたそうだ。
 イスラム国だけでなく、中東のイスラム諸国で、嫌いなのは「イスラエル」であった。イスラエルを支援するアメリカも毛嫌いしていた所で、息子ブッシュ大統領が「イラクに大量兵器がある」と言って、一方的に攻入り、中東イスラム諸国に「嫌アメリカ思想」を植えこんでしまった。
安倍首相は2年前に総理に就任して以来、中東諸国を歴訪し、「石油を高く買う国、日本?」を宣伝してきたが、中東最後?の訪問国がイスラエルとなってしまった。そして、今までの中東諸国への信頼関係を一挙に潰す事になったのではなかろうか? 安倍首相のエジプトの演説には、元々、「人道支援」の言葉はなかったし、更に「イスラム国と戦う」と名指しをしてしまった。少なくとも「難民救済」との単語を入れ、アメリカの空爆で瓦礫と化した現在の「イスラム国支配地域の難民も救済するかも」とのニュアンスを残しておけば良かった。今一番悲惨な状況にあるのは、いわゆるイスラム国と言われている地域内の人々である。そこでは、イスラム過激派の兵士に残忍な仕打ちを受け、アメリカなどの同盟国の空爆を受けている。

2. イスラム国の発生
アメリカが「3日で終わる」と言って始めたイラク戦が長期化し、フセイン大統領を捕獲するまで、数年かかった。フセインを処刑しても、まだ内戦が続いた。アメリカ軍は、元フセイン政権の有力者や軍隊の指導者を、キューバのグアンタナモ収容所に連れて行き、アメリカの法律では違法になる様な「拷問」を行った。9.11から14年経ち、アメリカ国民からも厭戦気分が起き、2年前に選ばれたオバマ大統領の公約で、アメリカ軍が順次撤退した。その後、アメリカの後ろ盾で、治安を任されたマリキ政権(シーア派)は、スンニ派出身の旧フセイン時代への長年の恨みか、シーア派寄りの政策を実施し、スンニ派の兵士を大量解雇した。また、米軍占領下で、キャンプ・ブッカに収容されていた仲間達が、「嫌アメリカ」を強め、「死んでも良い!」と、イスラム原理主義を名乗って「過激派集団」を結成した様だ。
当初、その過激派集団は、シリア政府軍ではなく、シリア反政府軍を攻撃して、武器と戦闘員を確保して、イラク北部のスンニ派居住地域に戻り、イラク政府軍と戦った。イラク政府軍は戦意が無く武器を置いて逃げた。そこで、その武器を奪い、銀行を襲撃して金を奪い、油田を制圧してしまった。
昨年6月に、シリアとイラクの占領地を「イスラム国」と名乗った。フセイン時代の統治経験者も多数おり、インフラを整備し、給料も支払い、住民から歓迎されたとも言われている。一方、残忍な行為も多く、住民の一部が「イスラム教」に改宗しない事を口実に殺害された、また、女性は売買され、強姦され、小さい男の子は洗脳され。戦闘員の訓練をさせられている。

3. 日本の対応について
 日本政府は「イスラム国」という名称は、独立した国のイメージがあると、今後「ISIL(イラクとレバントのイスラム国」と呼ぶ事にしたそうだ。レバントとは「太陽の上る国」との意味で、現在のシリア・ヨルダン・レバノン・イスラエル・パレスチナを含む大きな「国」の意味となってしまう。
 オレンジ色の囚人服を着せられた後藤さんの映像が流れた時、安倍首相がイスラエルからの放送で、「断固として許されない。即刻の解放を求める」など、強気の発言をしていた。しかし、後藤さんが昨年10月末に拉致されて、家族に20億円相当の身代金要求があった後も、「何処の誰に拘束されているか知らなかった」と言っていた。ヨルダンやトルコと連絡を取り、解放を求めるあわただしそうな動きはあったが、本当は何もしなかったに等しい。多分、アメリカから「身代金の支払い」を止められていて、「自己責任」で済まそうとしたきらいがある。その後の日本国民の支持率調査でも、半数以上が「安倍政権のやり方で良かった」としている。国民の総意だったのか?
 安倍首相は「罪を償わせる」、「仕返しをする」とか「積極的平和的主義」と言うが、「憲法を改正して、積極的に軍事力を強化し、抑止力による平和主義」ととらえられかねない。安倍首相の本音かもしれないが、注意してほしい。国民はだまされそうだ!

4. ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
 「ミトコンドリア・イブ」と言う言葉がある。ミトコンドリアは多細胞生物の細胞1個に200個位ある寄細胞であり、ブドウ糖と酸素からエネルギーを作りだす役目を持っている。このミトコンドリアの遺伝子が母性遺伝する事から、世界中の全ての「現代人」は17万年前の1人のお母さんの子孫であるとの仮説がある。
 旧約聖書では、「アダムとイブが、禁断の木の実を食べて、天国から追放され、人類の祖先となった」と言われている。したがって、人間は全て兄弟であり、肌の色、宗教、民族、居住地などで差別を受けたり、いがみ合ったり、戦争すべきではないのだろう。
旧約聖書では、エジプトの奴隷となったイスラエルの民が、数100km離れた「カナンの地を神から与えられた」と、出エジプト記にある。途中、紅海を渡る時、「モーゼの海割」の奇跡があった。これが史実とするなら、運よく「引き波から始まるインド洋大津波」に巡り合ったのかもしれない。その後、カナンの地と言われたパレスチナに住みつき、その中心都市がエルサレムとなった。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、姉妹宗教とも言われ、この旧約聖書を共通の教義にしており、エルサレムを聖地としている。ベツレヘムで誕生したキリストは、若き青年指導者として、各地で善行を行いながら、当時のユダヤ人為政者の支配体制を変えようとエルサレムに入った。密告され、「最後の晩餐」の後で逮捕されて、十字架で処刑された。三日後に昇天(復活)した事やいろいろな神秘な出来事を仲間のパウロやペテロなどが宣教者となり、各地を廻り「キリスト教」を広めたと言われている。キリストはユダヤ人に処刑されたと信じられ、その後の「ユダヤ人排斥」の根拠となっている。
 ユダヤ教は、そのカナンの地で続いたイスラエル民族の宗教であったが、紀元70年頃にローマ帝国にカナンの地を追われ、「世界に散った」と言われている。その中には、東進して日本に入ってきた部族もいた様だ。出雲大社や伊勢神宮の3種の神器、お神輿、八坂神社や家紋などに、その痕跡が多数あるらしい。古事記のイザナミはヘブライ語で「神よ!救いたまえ」の意味だそうだ。国作りの日本神話も旧約聖書の匂いがする。また、紀元3世紀頃に朝鮮半島から渡来したと言われる「秦一族」は、ユダヤ人との説がある。数千人規模で渡来し、土木・建築技術が優れ「日本文化の礎を築いた」と言われている。聖徳太子の母は、ユダヤ人だったとの説もある。
 一方、イスラム教は、紀元6世紀頃にムハンマドが神の啓示を受けて、その内容をコーランに纏め、教義にした。コーランの教えは「平和・平等・努力・喜捨」など、平和を基本とているが、元々ムハンマドは部族の将軍として各地で戦いを行っていたので、軍をまとめ、指揮を高める内容も含まれている。例えば、「ジハード(聖戦)」は「自爆」と恐れられているが、元々の意味は「神の前で努力する」との意味だそうだ。イスラム礼拝も、戦前の「天皇陛下万歳」と同等なものであろう。「アルコール禁止」は、戦闘員の乱れを防ぐ意味であり、「豚肉の禁止」は、当時の不衛生な雑食豚からの疾病を防ぐための教えと考えられる。「女性の肌を見せない衣服」は、戦闘員の不用意な情欲を抑える意味があろう。また、一夫多妻制度は、戦争未亡人などの貧しい女性を、金持ちが助ける慈悲精神かとも考えられる。「断食」は、現代医学でも健康維持に効果があるとの研究もある。
しかし、イスラム原理主義者のみならず、イスラム教を解釈するイスラム法学者は、現代風に解釈し、より柔軟な「現代イスラム教義」を広めて欲しい。13億人と言われる世界のイスラム教徒が、今後、世界で平和に共存して行く為には、大変重要な事だと思う。
 一方、現在のユダヤ人の多くは、8世紀頃に、白人系のカタール人(カスピ海の北側の現ロシア領)が、アラブやモンゴルの攻撃を避けるために「ユダヤ教」を名乗ったらしい。
 キリスト教は「愛」を中心教義としているが、決して寛容ではなく、カトリック、プロテスタント、ロシア教会などと、内部で争ってきた。
 11世紀から13世紀にかけて、キリスト教ローマ教皇は200年間に10回の十字軍を派遣した。元々、東ローマ帝国がイスラム王朝にアナトリア半島(現ギリシャ)を占領され、ローマ教皇に救援を依頼し「聖地エルサレム奪還」を名目に、ヨーロッパ各地から傭兵を集めてもらった。十字軍には、罪人の免償を条件に参加した傭兵も多く、虐殺、レイプ、略奪を行いながらエルサレムに向かった。平和に暮らしていたイスラム教徒は、戦争への準備もなく敗退した。その後、90年間は十字軍がエルサレムを占領し、中東には、キリスト教徒とイスラム教徒が共存する時代があった様だ。その後、イスラム教徒の国々は軍事力を盛り返し、エルサレムを奪還した。
今回、ISILが「6000km離れた東の国から十字軍に参加した」と言っていたのも、イスラム世界には、その長い歴史的な怨恨が残っている為である。

5.  第一次大戦が終わっていない
 その後、オスマン朝が出現し、15~16世紀にかけて、東ローマ帝国などの東ヨーロッパ・キリスト教諸国や北アフリから東はパキスタンまでを征服し、紆余曲折を経て、第一次世界大戦まで続いた。
 1860年の「クリミア戦争」では、フランス・イタリアが、ロシアの「敵の敵は味方」とオスマン帝国を支援し、ロシアを敗退させた。一方、第1次大戦では、ドイツとの戦いであった為、「敵の敵は味方」とロシアを支援し、イギリス・フランスの連合軍は、オスマントルコを敵とした。
ドイツとの戦いで手薄だったイギリス・フランス連合軍は、当時植民地であったインド軍に派遣を求め、やっと、オスマントルコに勝利する方向が見えて来た。アラブ諸国には、「オスマントルコ消滅の時には、各民族に独立を認める」と騙しながら、1916年に、秘密裏に「サイクス・ピコ協定」を結び、オスマントルコ占領時には、イギリスとフランスでその領土を分割する約束が結ばれた。その時に、定規で引かれたイラクとシリアの国境線などが現在も残っている。その結果、クルド民族は、その国境線で分割され、現在も「国を持たない最大の民族」と言われている。
 昨年5月31日の「地球ラジオ」で、元NHKロシア特派員の「小林和夫氏」が、ご自分の体験談として、「アラブの恨みは7世代(200年続く)」との放送があったが、第一次大戦から100年、まだ、その戦いが終わっていないとも考えられる。
 イスラム諸国は、昔の十字軍の非人道的攻撃を恨み、その後のオスマン帝国時代を懐古し、第一次世界大戦とその後の西欧諸国による分割支配に抗議している。ISILは、イスラム教徒のその様な気持ちを利用し、悪乗りして、イスラム原理主義を主張しているテロ集団であろう。しかし、ヨルダン飛行士の焼殺映像で、ISILが本当のイスラム教徒ではない事が「ばればれ」となった。イスラム教では、「人間を火炙りにできるのは神のみ」と定められているので、死者の火葬も行われていない。この映像をきっかけに、周辺のイスラム教諸国から、ISILを非難する声が一斉に上がった。

6. 鄭和艦隊と大航海時代
ギャヴィン・メイシーズ著の「1421 中国が新大陸発見」がある。当時、現中国の明朝は、イスラム系宦官鄭和が率いる大型木造船で、東南アジアと朝貢外交をし、裕福なアラブとペルシャ絨毯などの交易も行っていた。1421年の第6回航海では、大艦隊(60隻、3万人)で、南アフリカを廻り、南アメリカ、カリブ海、北アメリカを巡り、3年後に帰港した。その間に北京の紫禁城が雷で全焼し、これが大航海の「祟り」との占いがでて、以降、鎖国化してしまった。
この航海で測量したアラブ人の地図がヨーロッパにもたらされ、コロンブスのアメリカ(西インド諸島)発見や南アメリカのマゼラン海峡発見の指南となったらしい。近年、鄭和艦隊の南十字星の観測データから、これが史実として見直されてきている。
アメリカを発見した頃のコロンブスの艦船は、鄭和艦隊の主艦(宝船)の1/3の排水量であり、当時、大西洋の先は、「奈落の底」と信じられていた時代である。
その後、スペイン・ポルトガルの大航海時代を迎え、世界各地に艦船を派遣して、南アメリカを植民地化していった。特に、1万年位続いたインカ帝国を滅亡させ、財宝を持ち出した事は、人類の歴史に取って残念な事であった。インカの神話に「海から白い救世主が来る」とあり、それを信じたとの説もあるし、当時のグローバル化により、免疫力の無い人々に天然痘が広がったとの説もある。
 中国は、鄭和当時の懐古思想から「南シナ海」の領有権を主張する根拠になっている。また、日本人は、第2次世界大戦はアメリカに敗れたと思っているが、中国では「中国が日本を負かせた」との愛国教育が行われ、世界の中心は中国で、その端にある日本を軽蔑している。しかも、当時の政権は、中国共産党ではなく、台湾に追い出された国民党であった。なお、国連は、第1次世界大戦後に作られたが、結局、第2次世界大戦の戦勝国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国が常任理事国となり、70年間も「世界の監視役」として、現存している。

7. 白人崇拝主義
 17世紀に蒸気機関が発明され、イギリスから産業革命が起こった。蒸気で動く黒船が作られ、世界の覇権はイギリスに移る時代となった。世界の植民地は、スペイン領、イギリス領、フランス領と色分けされた。植民地では、原住民を奴隷として扱い、武力を背景に白人が経営する植民地政策が行われ、世界の富が西欧に集まる事になった。それに伴い、世界で白人が一番偉いという「白人崇拝主義」が生まれた。オーストラリアでは、イギリス主導で「白豪主義」が行われ、原住民のアボリジニが野生の動物の様に殺されていた。
 日本は、日本海海戦でロシア艦隊を破ったが、その資金はユダヤ人投資家がだしたと言われている。日本が東南アジアに進出した時、それまで、欧州の植民地化で苦しめられていた現地の人々は、同じ、アジア人を歓迎し、勇気づけられたそうだ。その時の日本人の指導や教育で、戦後の独立を果したとも言われている。
 ヨーロッパの世界進出(植民地化)に対し、アメリカと日本は出遅れていた。アメリカは1895年の米西戦争でキューバの支配権を取り、1902年に独立させたが、独立とは形式的なもので、グアンタナモ軍事基地の永久租借権を得ている。1898年にはハワイをアメリカに編入した。その後、アメリカは、スペインからフィリッピンを占領し、グアム、ハワイと対日本・太平洋防衛線を築く事になった。
一方、日本も1894年からの日清戦争で、朝鮮半島を併合し、琉球国の支配権を得た。これが、中国の「第2次世界大戦に敗れた日本が、日清戦争で琉球を取った」との根拠になっている。今後、中国の軍事力強化とアメリカの相対的な弱体化で、琉球が独立させられる可能性は高い。
 その後の日本は、1904年からの日露戦争で、満州の権益を得る事になり、支那への侵略も始まった。中国大陸の権益獲得に遅れていたアメリカが反発し、日本の経済封鎖などが始まったと言われている。当時、有色人種の完全主権国は、トルコ、タイ、エチオピアと日本だけだったそうだ。
 経済封鎖は、現在でも北朝鮮・イラン・ロシアなどに行われているが、それで戦争が終わった例は少ない。
一層敵意を深め「戦争」となる例が多い。

8.  アメリカのちょっかい

第2次大戦後、アメリカは遠く離れた国々に、猫パンチの様に、ちょっかいを出してきた。朝鮮半島ではマッカーサーが原爆を提案し更迭され、李承晩の反日的態度に嫌気がさし引揚げた。その結果、南北問題は今も解決していない。ベトナムでは枯葉剤(ダイオキシン)をまいた。その為か、ベトナムには難聴の子供が他国より10倍多いそうだ。
ここまでは、共産主義と戦っているとの「大義名分」があったかもしれないが、アフガニスタンでは、ソ連が引揚げた後に、9.11の首謀者・オサマビンラディンを攻撃するとの大義で攻撃した。また、イラクには「大量兵器を持っているとの噂」を作り、放射能を含む劣化ウラン弾を使用した。このブッシュ息子のイラク攻撃が、イスラム教徒の反米感情を生み、現在のISIL台頭のきっかけになった事は間違いない。
アメリカには、軍事産業のコングロマリットがあり、共和党に資金を提供している。軍事産業は「戦争が終わらずに、軍事費が右肩上がりに増加する事を望む体質らしい。アメリカ国内の膨大な軍事費に飽き足らず、この度、無人軍用機(ドローン)を友好国に輸出すると発表した。今後は「オフィスのソファー」で、ゲーム感覚で攻撃できる様になる。しかし、この最新兵器も敵に渡る事もあるし、中国に模倣される事もある。敵味方の双方にとって、危険なおもちゃになりかねない。
アメリカ国民もおかしい! オバマ大統領の医療改革やヒスパニックの人種差別、キューバとの国交正常化など、久しぶりに「人民の為の人民の政治」を行っていると思われたが、昨年の中間選挙では、「庶民の生活は良くならない」と共和党が上下両院の過半数を占めた。ピケティー理論によれば、資本主義経済では、一部の資本家に富が集まるそうだ。現在、アメリカの1%の富豪に、富の半分近くが集まっているらしい。

9.  一匹狼テロ

フランスとデンマークで、風刺画家を襲うテロが起こった。西欧諸国は、「言論の自由を侵す」と批判が出ているが、相手の「気持ち」を考えるべきだ。キリスト教徒にとって、ローマ法王の風刺がでれば、怒るであろう。天皇陛下の風刺なら日本人が快く思わない。
 ISILは「日本も交戦国とみなす。世界の何処も安全な所は無い」と言っていた。平和ボケした日本人は、テロに対する防備も不十分だ、例えば、新幹線に乗った自爆テロを取り押さえる事ができるだろうか? 空港並みの金属探知や危険物検査ゲートを整備すべきだ。政府は、海外旅行者や海外勤務者が「人質にされない様に注意しろ!」と言っているが、それが簡単にできるとは思えない。
 EU諸国では、イスラム教徒の移住者や難民が差別を受けている。EU圏内の「移動の自由」に疑問もでており、イギリスなどからEU脱退の動きも出ている。また、差別を受け、不満が溜っている人々が世界に沢山いる。ISILの宣伝に憧れて、ヨーロッパ諸国から結婚目的で渡る少女も多いそうだ。イスラム教徒だけでなく、アメリカの黒人、日本の非正規労働者など、危険分子は色々である。また、ISILの呼びかけで、「一匹狼テロ」が、世界中で発生する可能性も高い。

10. 原油価格の暴落
 昨年末の「オペック減産調整」会議で、サウジアラビヤが減産に同意しなかった。その為、$100/バーレルが$40代に低下した。これに対し、いろいろな憶測がでているが、元々$10代で採算が取れるサウジアラビヤが原油の世界シェアを確保する為と言うのが一般的であろう。この影響で、輸出の大半を化石燃料でまかなっているロシア通貨が暴落し、プーチンは回復に数年かかると言っていた。
一方、アメリカ国民は宿敵ロシアが困っていると喜んでいるのだろうが、$80/バーレル程度かかるアメリカのシェールガスの採算が低下し、倒産する会社や、投資を控える会社も出ている。
 産油国のベネズエラの支援を受けてきたキューバは、アメリカとの国交正常化と舵を切り、アメリカのオバマ大統領も同意した。しかし、この陰で、中国の存在・影響がある。中国は、近年キューバへの投資を増やし、パナマ運河の北側に、全長400kmのエクアドル運河の建設を始めた。アメリカの庭先に中国が入り込む事にはアメリカも無視できない。しかし、アメリカ共和党は、50年前にキューバから受け入れた富裕層の支持もあり、キューバとの正常化に反対している。
 ISILも、占領したイラクの油田から原油を採掘して、闇市場に売り、支配の原資にしてきたが、原油価格の低下と油田への空爆で、資金不足が生じているとも言われている。

11.  イスラム国はどこへ行く
 アラブの春は、チュニジアの露天商が焼身自殺した事から始まった。その後、リビアに飛び火し、欧米諸国は反政府軍を支持して、大量の武器を送った。カダフィが倒れた後の混乱に乗じて、反政府軍が持ち去った武器が、アフリカのイスラム原理主義集団「ポコ・ハラム」に渡った。その後、エジプトでは、アメリカ寄りの軍事政権が倒れ、その後、一応は民主主義的選挙でイスラム主義政権が誕生した。次のシリアでは、政府軍が化学兵器を使ったとも言われ、残忍な戦争を続けている。一方、イラク国民選挙ではアサド大統領が再任されている。アメリカは、ISIL対策として、シリア反政府軍に6000億円相当の武器供与の補正予算を提案している。元々、ISILはイラク政府軍と戦う振りをして、シリア反政府軍から武器を奪ったのだから、そのアメリカの武器もISILに渡るに違いない。
 ヨーロッパ各国に移住したイスラム系の難民や底辺労働者は、差別や侮辱で不満を持っている。ISILに志願する人が後を絶たない。日本でもISILに参加したい人物が現れた。新疆ウイグル勤務とのポスターも秋葉原で見つかっている。
ISILは現在も拡大しており、政治的に弱体化しているリビアに手を伸ばしている。ポコ・ハラムとも、アフガニスタン・パキスタン国境付近のアルカイダとも、緩い仲間意識があり、手を結びつつある。中国の西側の中央アジア(ロシア領)には、6億人のイスラム教徒が住んでいる。その東端の新疆ウイグル自治区には、800万人のイスラム教徒が住んでいたが、「砂をまく」と多数の漢人を送り込み、イスラム教徒を弾圧している。中国は現在大発展中だが、爆弾を抱えた状態だ。シャドウバンキング・ゴーストタウン・過剰投資などと、不平分子の暴動などから政権が揺らいだ時、ISILの標的になり易い。
 アメリカのオバマ大統領は、「近隣諸国で解決して欲しい」と演説した。また、核濃縮で対立してきたイランのISIL攻撃を黙認し、イランと対立してきたイスラエルとも「距離を置く様な姿勢」が見える。しかし、共和党多数の議会においては、むしろ戦闘を強化するであろう。次期大統領にクリントン夫人が選ばれたとしても、議会との「捻じれ状態」は変わらない。
 ISILがこれだけ広がると、空爆や地上戦でもゲリラは壊滅できない。世界中で、テロ事件が起こるかもしれない。一匹狼テロ、特に自爆テロの取締りは難しいだろう。
 10年位後には、ISILの戦闘員と結婚し、強姦されてできた子供達は、反欧米教育で洗脳され、若い兵士になる。結局、アメリカがイラク戦争を謝罪し、イスラム教の尊厳を認める事になろう。イスラム教国が集まり、「暴力は止めよう」との合意で終わるしかない。当然イスラム教国の発言権も高くなり、中東諸国の国境線を見直し、決着するしかないと思う。
 アメリカは最近、ハワイの侵略(併合)を謝罪した。ついでに、当時の国際法違反であった「無差別攻撃」(日本の都市爆撃・広島と長崎の原爆)も謝罪すべきと思う。
 しかし、10年後のその頃は、地球温暖化の深刻さも、間近となり、それを「地球人一体」となって対処しなければならないだろう。
 外に敵がない限り、地球人類の平和は望めないのだろうか! 残念な事だ!
以上

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