人口爆発と地球環境(近未来思考?)

2011-12 菊池喜康
 2011年10月31日は、私の孫の5才の誕生日でした。西洋ではカボチャのハロウィン祭りの日でもありました。同じ日、世界の人口が70億人を超えると言うことで、国連人口基金東京事務所では、当日生まれた赤ちゃん全員に認定証を発行し、生まれた時間が早い順に7人目、70人目、700人目の赤ちゃんには賞品が贈られると報道されました。
 現代人は何度かの絶滅の危機を脱し、生き残りましたが、ミトコンドリア遺伝子の解析から、全ての現代人は約15万年前の1人のお母さんの子孫であると言われています。私の小中学時代(60年前)には、世界の人口が30数億人と聞いていましたので、その後、2倍になった勘定です。しかし、現在、世界の全人口が最低限の生活をする為の食糧もエネルギーも不足しています。
 以下、為替問題、食糧問題、エネルギー問題、中東問題、地球環境問題などが相互に関連しながら、今後の地球がどの様になるのか考察したいと存じます。

1. 為替問題
 ギリシャ発のユーロ危機が世界を揺るがせています。国債の金利が7%でイエローカード、8%でレッドカードだそうですが、イタリアもスペインもレッド、フランスも危なくなっています。2011年11月末、優良と言われたドイツ国債も、更に日本国債までも若干ながら金利上昇に向いました。
 実は、リーマンショックの数ヶ月前のある日、銀行からドルを「123円/ドル」で換金しませんかと電話がありました。翌日から円安に進み、2011年秋には一時75円/ドルを付け、政府は為替介入を行いました。この事は、日本人の財産(資産、給与、年金など)が、その間に1.8倍になっている事を意味します。特に、民間の給与がデフレスパイラルで下がる中で、公務員の給与や年金が据え置かれているのは問題です。
 しかし、日本の国債と地方債がGDPの2倍を超える千数百兆になっている中、菅政権の最後に国債発行関連法案(50兆?)が通過し、野田政権では東日本大震災復興債(10~15兆円?)と、未曾有の国債が発行されようとしています。日本国債は、国内で消化されている事から、ギリシャの様な危機にはならないと言われていますが、国と自治体の借金残高が国内の貯蓄残高をオーバーし、更に、震災復興で個人の貯蓄も目減りして行く状況にあります。
 日本国民も「ギリシャ問題」が頭の片隅をよぎり、国債が国内で消化されない事もあり得ると思います。現在の円高は、世界の通貨より「まだまし」と言うことで、ヘッジファンドが短期的に操作している事は否めません。一旦、国債の金利を上げてでも海外に日本国債を買ってもらう様な事態になれば、儲けを企むヘッジファンドが一気に円売りに向う事になるでしょう。その時期は、2012年早々かもしれません。震災直後には経済学者などから「復興債の日銀買取(円を印刷すると同じ?)」との意見もあり、私もデフレスパイラルを止める妙案かと思っていましたが、今ではもう、遅すぎるでしょう。
 円安が一気に進み、例えば、123円/ドルに戻ったとすると、輸入品の価格は1.8倍になり、特に、国内の石油や穀類(小麦、トウモロコシ、大豆など)の国内価格が大きく跳ね上がる事になります。資産の目減りで貧乏になった日本人が200円/リッター以上のガソリンや400円/斤以上のパンを購入する時代が直ぐそこまで来ています。給料も年金も上がらない中での物価上昇です。政府も景気回復の兆しとか言って消費税を上げるでしょう。庶民にはダブルパンチです。
 1990年代のバブル破裂後、日本政府は公共事業で景気回復を図ってきましたが、全く回復する所か、この間に赤字国債を大量に発行してしまいました。今後、日本の輸出環境は悪化する一方でしょう。解決方法は唯一、輸入を減すしかありません。それには、現在、大量に輸入している「エネルギーと食糧」の輸入を減らす事です。政府の「自然エネルギー」政策が成功するとは思いませんが、ソフトバンクの動きには注目したいと思います。超円安時代が日本復活の最後のチャンスと信じています。


2. 食料問題
 2011年初頭から、アラブの春と言われる独裁政権の倒壊が続いています。それは、チュニジアの1人の露天商の権利が奪われ、焼身自殺をした事が発端でしたが、根本には庶民の食糧事情があったそうです。ロシアの干ばつやオーストラリアの洪水などで小麦の生産量が減る事を見越したヘッジファンドの先物取引で小麦価格が暴騰しました。アラブ諸国のパンの価格が1.5倍以上になって、「食って行けない庶民達」が参加した暴動が政権を倒した様です。2011年のタイの洪水でも、コメの価格上昇が懸念されます。アユタヤの工業団地の浸水が報道されていますが、私は会社の30年勤続の副賞のタイ旅行に行きました。バンコックからアユタヤまでバスで移動しましたが、その間の60km位は永遠と続く田園地帯でした。バスのガイドから「毎年、2m程度の浸水がある為、稲穂がその水の上に付く様な特殊な品種を栽培している」と聞きました。
 中国でも食料品の価格が高騰し、庶民の暴動が共産主義政権を揺るがすのも近いと推測されています。日本では幸い円高の影響で、小麦や大豆の世界取引価格の高騰を相殺して、あまり影響が無い様に感じているだけです。でも、2011年6月から小麦の政府仕切り価格が20%上昇したのに、数年前の時の様にパンやうどん・そばの値上げ騒動にならないのは不思議です。
 2011年11月に野田総理がハワイのAPECで「TPPの参加に向けて協議に入る」と訳のわからない宣言をしました。与党の半分と野党の反対を押し切っての見切り発車でした。その翌週のラジオ時事川柳で「ティー・ピィ・ピィ消化不良の音がする」がチャンピオンになりました。
 TPP(環太平洋経済協力協定)で日本の農業は壊滅し、自給率が現在の40%から13%になるとの試算が農水省からでています。しかし、そもそも「食料品の輸入」は大量の水を移動しているに等しいのです。牛肉は1万倍、コメは1千倍の水が必要とも言われています。TPPで米の700%の関税が外れ、良質のカルフォルニア米が安く大量に出回る事が懸念されている様ですが、水不足のカルフォルニアで、これ以上にコメの生産を増やすことはできないでしょう。小麦・大豆・トウモロコシなどのアメリカの中西部の生産も増やせそうにありません。私が35年前にシカゴからアリゾナのフェニックスまで移動した時、眼下に広がる農業地帯を数時間通過しました。シカゴ近辺は文字通り田の字型の耕作地でしたが、ひと眠りして見ると田の字の中に緑の円がありました。直径300m位のスプリンクラーで灌水している農業地帯でした。地下1000m位から地下水を汲み上げて散水しているそうです。この水は2000年以上昔のロッキー山脈の雪解け水が溜まった地下水です。最近は渇水が進み、塩分の多い水しか出なくなったと聞いています。
 一方、東南アジアのコメはどうでしょうか。世界の食料が不足する中、既に、東南アジアの各国では人口増などで、自国民を養う食糧にも不足しています。関税が無くなっても「自国民の生命」を守るため輸出制限をされる可能性もあります。一方、この10年間で、中国の米価は上昇し、日本の米価は低下し、6倍あった価格差は1.3倍に縮まったと言われています。更にの円安で、逆転するかもしれません。中国の富裕層が2~3億人となると日本のおいしい良質なコメを、逆に大量に高く買われる可能性もあります。日本の貧乏人は日本の美味しい米が買えなくなるかもしれません。だからって、麦も高くなり、戦後の「芋」生活になるかもしれません。
 地球の水問題はますます深刻化しています。最も水に恵まれ、緑豊かな日本を除いて、今後、農業を発展させられる潜在能力を持った国は、他に無いのです。しかし、土地が国有地で個人所有できない中国の資産家が日本の土地を買いあさっているそうです。何十年か後に、日本の山林から木材をはぎ取り、水を汲み上げ「金儲け」の為に持ち出される事を憂慮します。森が無くなり水が無くなった日本の山間農村地帯は砂漠同然となるかもしれません。


3. エネルギー問題
 地球温暖化の元凶と言われるCO2の排泄量は、京都議定書に参加していないアメリカと中国が半分近くを占めるそうです。今後、経済発展が止まらない中国と人口爆発中のインドやアフリカの発展により、化石燃料の消費量は増加の一途をたどるのは間違いありません。化石燃料の一つの石炭は3億年前の石炭紀の植物の埋蔵化石と判明していますが、石油はまだ分かっていません。私は20億年前の酸素が無かった時代のメタン菌などの死骸や生成物と思っていましたが、非生物由来説もでています。一つは「宇宙由来説」で、46億年前に地球がある程度冷えてから降り注いだ隕石に含まれていたと言うのです。「イトカワ」などの小惑星の探査が進めばはっきりしてくるでしょう。
 もう一つは「マントル由来説」です。以前から石油に微小なダイヤモンドが含まれる等の不思議な現象が報告されていましたが、土星の衛星のタイタンのメタン等と同じく、地球マントル活動で石油が作られる可能性があるそうです。
 一方、日本では尖閣諸島や沖縄周辺の大陸棚に、メタンハイドレイトが大量に埋蔵されているそうです。地球大気は初め炭酸ガスが主体でしたが、そこに猛毒の酸素が増える時に海底に避難した嫌気性の細菌由来と思っています。最近、北海道から青森沖300kmの海底3000mで大量の細菌群が見つかっています。話はそれますが、1900年の初めにはアメリカ東海岸で、船舶や航空機が行方不明になる事故が相次ぎ、「バミューダ・トライアングルの謎」と言われていましたが、私の個人的見解では、16~18世紀の寒冷期の後、温暖化したメキシコ湾流に洗われたフロリダ沖でメタンハイドレイトが気化し、船や飛行機の浮力を失わせたのが事故の原因かもしれません。
 今から50数年前の昭和34年秋に仙台レジャーセンターで「原子力展」がありました。学生時代の私はそこで「説明員」のアルバイトをしました。会場は屋内コートがあり、両サイドには20段位の観覧席が付き、正面には舞台もある仙台一の総合屋内施設でした。展示会場には原子炉の模型が幾つかあり、200枚位の説明パネルもありました。原子核の原理や放射能の説明から、軽水炉型原子炉、高速増殖炉、核融合発電までありました。説明員に対する教育があったかどうか記憶にありませんが、少なくとも全てのパネルを理解して、説明を担当しました。お陰で、今回の福島事故の報道は100%以上に理解できたと同時に、この50年間に原子力技術は、全く革新していない事に驚きました。
 東日本大震災以前は日本のエネルギーの50%を原子力でまかない、鳩山首相が世界に約束した炭酸ガス排泄量25%減を実現しようとの政策を掲げていました。福島原発事故を機会に、政府は脱原発へ方向転換して、ドイツやイタリアは原発ゼロを決定した様です。幸いにも福島原発は北西季節風の3月に起こりました。私はテニスやウインドサーフィンで風向には敏感でしたので、事故後の風向を観察していましたが、ほぼ90%の放射性物質は太平洋に飛んで行きました。たまたま、3月14と22日頃に吹いた南東の風により、福島市や飯館村方向に流れ、その後の北風で群馬や静岡方面まで放射性物質が飛び散りました。それにしても、退官した元・原子力保安院長官が「SPEEDIがそんなに重要とは知らなかった」とかの記事には驚きました。100億円以上の開発予算は、天下りしている元先輩への「手土産」位にしか思っていなかったのでしょうかね。
 東電の最大の責任は、ベント用の煙突に放射性物質除去フィルタを着けていなかった事です。更に、アメリカの専門家から指摘されていた全電源喪失時の対策を危機管理マニュアルに記載しなかった事です。津波の後、数時間残っていたバッテリー電源で、早急にベントのバルブを開ければ、今回の様な深刻な放射能放出は避けられたと思います。また、東電から「10m以上の津波の可能性」を報告されたのは3月7日と事故の4日前だったそうです。直前まで「安全神話」から抜け出せなかったのが残念です。
 更に、福島原発を設計したGEの技師が「格納容器が小さい事や圧力チャンバーの強度不足」から自らの職を辞して、昭和50年頃から、原発の危険性を訴え続け、アメリカ議会の公聴会でも発言していた事です。アメリカでは「GEの原発」が地震と津波の可能性が低いアメリカ東部で使われている事を前提に「問題なし」と判断された様です。同じく原発の危険性を訴えていたアメリカの学者のシミュレーション結果と「同じ時間経過通り」にメルトダウンから水素爆発まで進んだとの報告には驚きでした。
 中央構造線に近い四国の伊方原発の住民訴訟が敗訴となりましたが、「近年大きな地震が無かった」いとの政府見解で想定震度が低く抑えられています。最近の伊方原発のストレステスト結果では、想定震度の4倍強をクリアしているとの報告です。しかし、九州・四国・紀伊から茨城まで続く中央構造線と言う大断層が、四国山脈や瀬戸内海などの造山運動で、日本列島を形作ってきた歴史を考慮すべきでしょう。マグニチュードが1.0上がると破壊力は32倍になります。
 チェルノブイリ原発事故では、1500km離れたノールウェーで、飯館村程度の放射能汚染があったそうです。福島から1500kmと言うと福岡、逆に、玄海からは東京、上海から福岡の距離になります。
 一方、中国やベトナム、インドでは、まだ、原発推進の意向です。「表に出ない情報は隠し、表に出た情報は埋める」中国の原発は、地震や人為的な原発事故が起こる可能性を否定できません。季節によっては、黄砂と同様に放射性物質がまともに日本に降注ぐ事は間違いありません。その時は、政府の500ベクレルとかの暫定基準をはるかに上回る食料を、「数年後の癌のリスクより明日の命」の為に食べざるを得ません。


4.中東問題
 9.11後に、息子ブッシュ大統領は、首謀者とされるオサマ・ビン・ラディンをアフガニスタンに追って行きましたが。その後、「イラクを攻撃したいが、何か良い情報は無いかね?」と探していた所、南アフリカの1記者からの「イラクは大量破壊兵器を隠している」との情報に乗っかって、国連の反対を無視して、イラク攻撃を始めました。近代兵器を駆使して、数日でフセインを倒せると信じていた様です。しかし、その結果、アメリカはイラク人のみならず多くのアラブ人の憎しみを抱いてしまいました。次のオバマ大統領は「勝ったのか負けたのか」もはっきり表明せずにイラクから引上げ中です。一方のオサマ・ビン・ラディンは、10年の逃亡の後、パキスタンの豪邸で射殺されました。世が世(アメリカが負けるとか)なれば、ブッシュが処刑されてもおかしくないと思います。処刑されなくても、多額の軍費を浪費して、何も得られなかった息子ブッシュは、歴史的には「死刑者」でしょうね。
 一方、アラブの春で倒壊したのは、長い間「親アメリカ」を掲げて、甘い汁をもらってきた独裁者政権でした。それも60年前に突如、アラブの一角に作られた「ユダヤ人の国イスラエル」を守るために、アメリカが取ってきた長年の政策の結果でした。
 そもそも、ユダヤ人ってなんでしょうか? 旧約聖書のエジプト脱出記で、紅海を渡り、砂漠を越えて「カナンの地」にたどり着いた民族でしょう。キリストもキリストを処刑した支配者もユダヤ人であったと思います。しかし、ユダヤ人は、紀元3世紀頃にローマ帝国に追われ、東方に散々になったと言われています。その主力チームは3種の神器を持って、日本に逃れてきたようです。日本のお神輿や八坂(ヤッサカ)神社などに沢山の証拠が残っている様です。
 一方、中央アジアにいた白人系のカザール民族は、8世紀頃にイスラムとビザンチン・キリスト教から迫害を受け、両方の根源であるユダヤ教に改宗して、帝国の保身を図ったそうです。更に、12世紀頃にジンギスカン率いる蒙古軍に追われ、北へ逃れロシア南部付近に定着し、「ユダヤ人」と名乗ったそうです。その後、ヒットラーのユダヤ人排斥・虐待に会い、生き残った人達は世界に散らばった様です。ロシアとの日本海海戦では、「自分達の敵の敵は仲間」と世界中のユダヤ人が日本に協力してくれたと言われています。
 第二次大戦後に、パレスチナの一角に「イスラエル建国」が決まり、歴史的にも民族的にも、人種的にも関係ない白人系の偽ユダヤ人が乗り込んできたわけです。
 現在、イスラエル国民は、元からそこに住んでいたアラブ系と白人系ユダヤ人がほぼ半々だそうです。建国以来、民主主義的な公平な投票でしょうが、白人系ユダヤ人が政権を握り、アメリカの後ろ盾もあってか、ガザ地区の攻撃や入植地の拡大を続けてきています。
 アラブの春で周りをイスラム色で囲められつつあるイスラエルは今後どうなるのでしょうか。ユーロやドルの金融不安で、今まで君臨してきた白人国家の勢いが落ちつつあります。アメリカの軍事予算も大幅に削減されつつあります。それに反して、中国の軍事費の伸びは大きく、ロシアの廃船のお色直しをして、空母も手に入れています。
 ここで、人口爆発と出生率が今後の世界環境を変えつつあります。高所得世帯では子供の養育費が掛かるとの理由で出生率が低下し、逆に、アフリカ等の低所得国家では「5才から水汲みや畑仕事が手伝え、10才で兵士になれる」と子供が増えています。アメリカだけを考えても、メキシコ等からの正規・不正規の移入者の出生率が高く、昔労働者として連れてこられた黒人の出生率も高い状態です。今後も民主主義国家を維持すると思われるアメリカでは、選挙で、第二、第三の白人系以外の大統領時代を迎えると思います。
 2011年秋には、アメリカの強烈な反対を押し切って、パレスチナがユネスコに加盟しました。国連には常任理事国の拒否権がありますが、ユネスコには拒否権が無く、アラブやアフリカの賛成多数で加盟できました。パレスチナにはキリスト教由来の土地が多く、世界遺産登録も進むとみられています。
 イスラエルでも白人系ユダヤ人より、パレスチナ系原住民の方が出生率が高いでしょう。周りがアラブに囲まれた白人系ユダヤ人は、嫌気をさして、今後、世界各地に流出することも考えられます。アメリカの加護の力が減り、民主的な投票の結果で、イスラエルがアラブ系国家になる日は直ぐそこまで来ています。私には、その時、中東からアフリカからまでの資源ベルト地帯を開発してきた中国が、軍事力を背景にアラブ周辺をも平和裏にまとめて行く姿が見えます。北朝鮮もアフガニスタンも中国に接しています。これ等の紛争も中国が解決しそうです。
 「1421-中国が新大陸を発見した年」(キャビィン・メンジース著)を読みました。中国の鄭和艦隊は、120m以上の大型木造船で、尖閣諸島、南沙諸島、マレー半島、インド洋からアラビアへの航海を度々行い、南アジアの海を席巻していたそうです。最後の第6回航海では、70隻以上の大型木造船に3万人以上の「宦官や処刑者」を乗せ、世界に植民したそうです。喜望峰を廻り、一部の艦隊はブラジルからアメリカ東海岸へ、他はマゼラン海峡を経由して、3年後に中国に帰還したとの話です。世界各地にその証拠となる遺跡を探し、それを元に書いたドキュメンタリー風の書籍です。3年後に帰還した鄭和は、その間に、北京の紫禁城が雷火災で焼失し、その原因が世界制覇艦隊のたたりと言われ、世界に残してきた移民達を救出するすべも無く、中国の世界制覇は終わった様です。
 コロンブス・バスコダガマ・マゼランなど西洋の英雄達も、それより70年位後に、鄭和艦隊の数分の一の小さな船で、鄭和艦隊の乗組員が残した地図で航海し、西洋人としては初めて、アメリカ(東インド)・喜望峰・マゼラン海峡発見したのです。


5. 環境問題
 1万数千年前に10万年周期で続いてきた氷河期が終わり間氷期となりました。気候が安定し、定置農耕が可能になり、人口爆発のきっかけになったと言われています。それ以前の氷河期には毎年の平均気温が5℃以上変化し、同じ場所で同じ植物を耕作できる様な環境では無かった様です。
 地球は過去100万年の間、約10万年毎に温暖化と寒冷化を繰返し来ている事が、南極の氷の痕跡などから解っています。その原因をミランコビッチ周期など天体運動や太陽活動から説明する研究も盛んです。1万年前の地球気候の安定化は、「海洋大循環」と言われる地球規模クーラーの結果と言われています。氷河期には、北欧や北米は数百~数千mの氷雪で覆われていました。氷河が削ったフィヨルド海岸で有名なスカンジアビア半島では、氷の重みが取れ100mも隆起しています。アメリカの五大湖周辺やカナダの氷河も融けしまいました。100年前にはタイタニック号が衝突した様な氷山がまだ沢山ありました。マイナス数10度の氷河が大西洋の海水に浸ると物理的原理で海水の純水分が氷山に付加され、重い塩分の多い海水が下に沈みます。北極海も凍る時には純水分が氷となり、重い海水が沈みます。その重い海水は、海底を流れ、喜望峰を廻り、インド沖とニュージーランド付近で上昇する海洋大循環を起こします。その北大西洋に沈んだ海水を補う様にメキシコ湾流が流れています。それは南半球の温かい表層水が喜望峰を廻り、赤道付近で更に温められた海流です。樺太より緯度の高いイギリスやニューヨークを温め、人の住める土地に変えているのです。
 同じ事は太平洋では起こらない様です。オホーツク海ではシベリア奥地から流れるアムール川の軽い水が冬に氷り、これが流氷として北海道沿岸まで流れ、その下で繁殖する動植物プランクトンが、世界の半分近い魚類の繁殖に役立っています。オホーツク海の重い塩水は千島列島で南下できませんし、北極海の重い塩水も、昔の氷河期に人類が渡った浅い海のベーリング海峡で阻まれ南下できません。
 一方、ここ30年で北極海の氷が30%以上も少なくなったと観測されています。唯一残っていたグリーンランドの氷河も融け、海に落ちる頃にはシャーベット状になっているそうです。数十年後には、海洋大循環も弱まり、メキシコ湾流の勢いも衰えると予想します。私の見解では、地球の温暖化は「北半球の寒冷化」から始まると思っています。特に、ヨーロッパの気温が数℃下がり、ヨーロッパやウクライナ穀倉地帯の小麦生産量が落ち、ロンドンやパリの気候は16世紀の暗黒時代に逆戻りすると思います。実は、1万年前から次第に寒冷化が進み、16~18世紀に最低になった所で、産業革命でCO2の排出量が増え、寒冷化が止まったのです。
 海洋大循環の衰退は、逆に南半球の温暖化を意味します。南極大陸の氷雪の融解速度は増加し、世界の海水面を10cm/年で上昇させます。「10年で1m、60年で6m程度上昇する」と、私は個人的に推定しています。日本で6m上昇すると関東平野の栗橋付近、東京の九段下、川崎の武蔵小杉、横浜の川和(中山)付近まで水没します。実は、6千年前の温暖な縄文海進時代の遺跡から、この付近に貝塚が多かったとの考古学的検証があります。
 そもそも、この10万年周期の氷河期、間氷期サイクルの理屈を私なりに考えてみました。この周期では気温の周期と炭酸ガス濃度の周期が一致している事が観測結果から解っているそうです。その前提で考えると、炭酸ガスは常に一定の割合で、減少して行くと考えられます。それは、陸上の植物と海底の嫌気性細菌が炭酸ガスを固定する結果でしょう。炭酸ガスが減少して気温が下がり、海水が雪となり大陸に積り、海水面が低下して行きます。海水面が10m低下する毎に海底の気圧は、1気圧づつ低下します。海水面が150m位低下した所で、海底のメタンハイドレイトが沸騰し、大量の温暖化メタンを大気に放出して、急激な温暖化を迎えると考えます。
1万年前に間氷期を迎え、今後9万年間、ゆっくりと氷河期に向うところで、人類が産業革命以来、化石燃料を使い、山林をはぎ取り、地球のリズムを変えたのです。今後どうなるかは、地球の経験したことの無い「未知の世界」なのです。

以上

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