日本の水と森林の脅威

日本の水と森林の脅威
 日本の田舎の風景を描いてほしいと言われたら、多分、小高い森の前に広がる田んぼと、嘘でも、わら葺の一軒家と柿の木の絵を描いてみたい。水彩画でも油絵でもいっぱしの絵となる。美しい。日本人は、こんな風景がいつまでも続くと思っているが、本当だろうか。

★ 都市化による森林破壊
  私の住んでいる横浜市青葉区は、昔は横浜のチベットと言われ、昭和20年代に、五島慶太が馬で廻って、坪400円で買いまくった所だそうだ。そこに田園都市線を開通させ、沿線の開発を進めてきた。線路を若干迂回させて、急行停車駅・たまプラーザを作った。私の住まいも東急の分譲地の一角で、緑の多い住宅地の一つである。何10年もたった今日でもまだ少しずつ分譲を続けており、東急グループの収益に長年貢献している様だ。
私は、72才の誕生日まで、青葉区社会福祉協議会の送迎運転ボランティアを6年半やってきた。会員となっている要介護者や障害者から協議会に申し込みがあると、受付担当が、それを4台の送迎車のスケジュール表としてまとめる。運転手はそのスケジュール表と初めての利用者の場合は、住宅地図が渡され、訪ねて行き、希望の施設などに送迎する。そんな関係で、青葉区内の殆ど全ての道を走った。辞める頃には、利用者の地図が500枚(重複を除いて)以上溜まった。
青葉区は昭和30年頃まで、70%以上が山林であった思う。市ヶ尾付近や田名付近の鶴見川上流には、戦前から田畑があった様だ。山の上にも、平坦な所に幾つかの畑があり、人が住んでいた様だ。現在、昔の田畑部分は市街化調整区域となっており、そこは、公共施設以外には利用できない条例になっている。そこに、区役所、警察、消防、体育館などの広大な施設ができてしまった。
一方の山林部分は、殆ど全て住宅地となった。その中には、大きな旧公団団地が、たまプラーザ、あざみ野、すすき野、青葉台、桜台、奈良北とある。団地以外の住宅地は、丘や谷の複雑な地形を利用して、殆どの一軒家が道路に面する様に主として6~7mの曲線的道路として整備された。青葉区を東京から西南方向に貫く国道246号線がある。片側2車線、速度制限50kmで、昔のままの様だ。その他に、幻の環状4号が計画されている様だが、山林部分を開発する時には、区画整理で土地の所有者から、ほぼ強制的に収容したらしく、片側2車線可能な用地と広い歩道と街路樹とセンタ植込のある立派な道であるが、2~3kmでぶつ切りである。桐蔭学園やその先の市街化調整区域などで、地下推進派ともめ、用地買収も進んでいない。そこに、以前「鴨志田口」であった交差点が、いつの間にか「環状4号入口」と替ったが、左右にそれらしき道路は見当たらない。また、こどもの国線に15年位前にできた新駅「恩田」の北には、4号線反対の運動で、結構大きな原生森が残っているが、神奈川県地図(10年前発行)には、宅地と同じ色で表示されている。
元原生林であった宅地開発部分には、沢山の公園がある。森林を破壊して、雨水の保水力を失った罪滅ぼしに、深さ10~20mの遊水地を兼ね、普段、ゲートボールやサッカー場として使っている公園もある。また、一角にクヌギやコナラの原生森林を残している公園もある。なんと、下は遊水地のまま、その上にできた老人ホームも幾つかある。
青葉区の一般道路は、はめ込みパズルの様に曲っているが、先に抜けられる。送迎運転の際は、早くても渋滞リスクの高い幹線道路を避けて、一般道を利用して30分位の間隔のスケジュールを守る様にできた。
青葉区と緑区と都筑区は、元々一つの緑区を分割してできたが、隣の都筑区とは道路の基本設計が異なる様で、片側3~4車線の広い幹線道路が先につくられた。しかし、その幹線から脇道に入ると、入った所に戻ってしまう。

★ 世界の森林資源
 文明発祥地と言えば、チグリス・ユーフラテス川流域である。現在、その大半を占めるイラクは砂漠地帯と言われている。2003年から2006年まで人道援助との名の下に自衛隊イラク派遣が行われてきた。大金を投じて、給水活動を行ってきたと言われているが、政府は未だ具体的成果説明を行っていない。この付近は、人類が農耕を中心に定住を始める以前は、森林に覆われていたと思われる。最初の文明もこの森林を利用して、発展してきた。主として、住宅用のレンガ作成に使われていた様だが、炊事・暖房から精錬まで、当時のエネルギーの大半は、森林の木材から得ていたと思われる。森林が破壊され、人類はその地を放棄し、隣へ隣へと移って行ったと考えられる。チグリス・ユーフラテスを捨てた人々が、隣のトルコからヨーロッパ南部へと森林を追いかけて行ったアングロサクソン達であったような気がする。ヨーロッパには美しい森があるが、ほんの一部の原生林を除いて、人工的に作られた森と聞いた。
他の4大文明、エジプト、インド、中国も全て、大河と森林資源に囲まれていた。しかし、これ等の発祥の地も、大森林はもうない。中国の北京には数km先まで砂漠が押し寄せ、数m先が見えない黄砂の被害が甚大である。この黄砂が私の家の車のボンネットまで押し寄せ、洗車に苦労した事もあった。
 日本の森林は、天武天皇の「肉食禁止の詔」(西暦676年)によって守られた。禁止されたのは、ウシ、ウマ、イヌ、ニワトリ、サルの五畜のみである「犬は夜吠え番犬の役に立つ、鶏は暁を告げて人々を起こし、牛は田畑を耕すのに疲れ、馬は人を乗せて旅や戦いに働き、猿は人に類似している」との理由だそうだ。シカやイノシシは、害獣だった為か対象になっていない。この令の思想は明治の初めまで続くが、その間、牧畜による肉食が抑えられ、森林も守られて来たと思う。
 話は戻るが、日本の美しい風景に松は欠かせない。松島が良い例だ。海食で垂直に削られた茶色の岩の上に緑の松林が乗る小さな島が、松島湾の中に沢山ある。日本の各地には、防潮林、街道林にも松が多い。民家の豪邸でも松は欠かせない。こんな松が、絶滅の危機にあるそうだ。100年位前、アメリカから松の皮を食べるカミキリ虫が、北九州に入ったそうだ。その虫に寄生する1mm位のマツノダイ線虫が松枯れを起こすそうで、最近、津軽海峡まで広がってきたとの事だ。不思議な事に、アメリカではこの線虫による松の被害がないそうだ。松の遺伝子が長年の間に耐性を獲得したらしい。グローバル化による外来種の問題も、地球の生命環境をむしばんでいる。
 イギリスやイタリアに旅行して、気が付くのは、山の風景だ。山の頂上まで緑の草原が続き、稜線付近にポソポソと下半身が丸出しの木が立っている。その草原には羊や牛が居る筈であるが、殆ど見かけなかった。ゴルフ場も土地の利用率が悪いが、放牧はもっと利用率が悪いと思う。
 他に、イギリス旅行で印象に残ったのは、10km位の間隔の小さな町と町を結ぶ街道沿いに、コンビニとかガソリンスタンドとかが無いことだった。民家も殆ど無く、牧場や畑が続いている。町に入ると、交差点に信号が無い。殆どがロータリー交差点だ。マニュアル車をレンタルして苦労した。イギリスでは、オートマティックのレンタル料が2倍位するので、節約したためだ。ロータリー交差点はそこを廻っている車が優先されるルールの為、その入口では、廻っている車が有れば減速や停止、無ければ進入となる。マニュアル車では、交差点入口でニュートラル・ギアにして、状況を見て、2速や3速などを選ぶのが最善と分かった。しかし、低すぎるとエンジンブレーキで急減速、高すぎるとノッキングと乗心地に影響した。
 イタリアには、2001年1月に旅行した。15万円弱の3食昼寝付き6日間、乗継の際に6時間のブリュッセル観光が付いていた。イタリアでは、ミラノ、ベニス、フィレンチェ、ローマ、ミラノ(ポンペイ)と半日バスで移動し、半日観光した。移動中はたっぷり昼寝ができた。日本からの添乗員の他に、各都市で日本語のバス案内嬢が説明してくれた。その際、必ず、イタリア人の案内嬢と称するおばさんが同乗してきた。イタリア語で説明するでもなく、無言で同乗していた。イタリアの法律で決められているそうだ。また、バスが主な市街地に入る時に、郊外で立寄る所があった。各都市の入場税で、バス1台当たり各々3万円位取られていたらしい。がめつい様だが、良いアイデア税かもしれない。
 話は戻るが、ここ50年間の森林破壊は強烈だ。アマゾンの原生林は、あばら骨状に破壊した森林の茶色い跡が毎年どんどん増えている。アマゾン川が以前太平洋に流れ込んでいた時は、砂漠だったとの説もあり、森林が無くなれば、砂漠に戻る可能性が高い。マダガスカル島やインドネシアの原生林も日本へのパルプ材や建築用材として大量に伐採されている。ロシアのツンドラ地帯の針葉樹林帯でも、一角が伐採されると、そこに日光が射しこみ、付近の永久凍土が溶け、池ができ、周りの森林が倒れる被害が多発している。
「ペーパーレス時代のあけぼの」と言われたパソコンも、それまでは消ゴムを入れ、大切に使ってきた紙資源を、プリントして修正し、またプリントするとと・・、紙資源の乱用につながってしまった。
日本国内で消費する紙パルプや建築用材は、日本の森林を上手に再生利用すれば、永久に使えるとの試算もあるが、経済的理由で世界の森林破壊を先導している現状を憂える。そもそも、当初、日本の森林資源が足りなくて、輸入を始めたのでは無く、日本との貿易赤字に苦しんだ東南アジアからの要請で、政治的に始まったそうだ。その結果、日本の林業は経済的に壊滅し、山林は野放しになり、荒廃した経緯がある。
一方、各自治体では住民の協力を得て、ゴミの分別回収を進めてきた。古紙、瓶缶、プラスティック等がリサイクル可能な貴重な資源と言われてきた。国のリサイクル法では、リサイクル料金を商品の売価に乗せ、それを財源にリサイクル工場を建設してきた。しかし、それらのゴミ資源が、中国に高値で持って行かれ、存続の危機にあると聞いた。

★ 日本の水は安くて美味しい
 日本は、エビアン、ハワイアンウォーターなど、沢山の水をミネラルウォーターと称して輸入している。一方、日本には綺麗な河川水や地下水が豊富にある。特に、日本の各家庭で蛇口をひねれば安く自由に手に入る水道水は、非常にきれいな水である。東京の水道の大半は利根川から荒川放水路を経由して、浄化した水で、20年位前はゴミ臭い、カルキ臭い、カビ臭いと評判が悪かった。その後の浄化設備の改善によって、世界でも最も美味しい水の一つになったそうだ。逆に、日本国内でミネラル(鉱物成分)を求めるなら、温泉水か沖縄の地下水ぐらいで、その他、富士の水なども殆どミネラルを含んでいない。
そもそも、カルシューム分が多い水は硬水と言われ、やかんに湯垢を残し、健康にも良くないと言われていた。ヨーロッパの飲料水は有料で、ビールの方が安いそうだ。ヨーロッパに来るアメリカ人と日本人は「水」をがぶ飲みする珍しい人種と言われている。私が我孫子で部長をしていた時、アメリカからの来客が沢山来た。庶務の接待係が「ティorカフィー?」と聞くと「カップofウォーター」の返事が返ってきた。「メニューに水は無いのですが」と困った顔をしていたので、私がコップに水道水を汲んであげた。庶務にクレームしたところ、何カ月か後にやっと、演台にある様なボトルとコップのセットを用意してくれた。
陸上に住む生物は全て海から上陸したはずであるが、なぜか海水を利用できない。海の水が太陽熱で温められ、蒸発して雲となり、陸上に雨として降った蒸留水を利用している。大雨が降っても海に流れてしまってはもはや利用できない。その間の短いルートの真水を利用している。北緯も南緯も30度付近には砂漠が散在する。そんな位置に存在する日本は、島国の恩恵を受けて助かっている。太平洋プレートの沈降に引きずられてできたと思われる日本海は、冬将軍と言われるシベリア高気圧からの冷たい風を湿らせ、日本の背骨にあたる山脈の日本海側に大雪をもたらす。フィリッピン海沖では、夏に太陽が真上に来る6月から海水が温められ、9月頃まで、上昇気流が発生して、その空気が南北に10~20度離れた地域に下降する。それが太平洋高気圧になって、より重いシベリア高気圧の上にのし上がる。湿気を含んだ暖かい空気が上昇すると断熱膨張し、温度が下がり、雨雲ができ、前線が発生する。温度が下がると水蒸気の保湿力がさがり、クーラーから水が出るのと同じだ。丁度日本付近でその前線が南から北へと押し合いをして、1ヵ月近くの梅雨時期となる。フィリッピン沖の上昇気流は突然、正のフィードバックを起こし台風となる場合があるが、その台風もアジア大陸の東側を通過し、大量な水を供給してくれる。また、春には春雨、秋には秋雨がある。これは、ヒマラヤ付近で交互に発生した低気圧と高気圧が偏西風に乗って、日本付近を通過し、三寒四温などと呼ばれる独特の気候を作ってくれる。この雨は、メキシコ沖のエルニーニョでも影響すると言われている。また、ヒマラヤの万年雪がとけると、この微妙なバランスが崩れる可能性もある。
雪は保水力があり、半年近く田畑を潤してくれる。一方、太平洋側には防災や貯水を目的としたダムに雨水を貯め、水道水や発電など多目的に使われる。しかし、ダムもいろいろと問題があるらしい。群馬県の安中市では、水道用のダムが埋まり、水の供給に支障が出る可能性があるそうだ。1㎥の土砂を取除く費用は3000円とかでも、17億円の費用の他、その為の道路拡張や投棄場所の費用などで困っている。小泉改革時代の地方自治制度で、事業毎の採算性を強く求められているので、この費用は市民の水道代のみで回収する必要があるそうだ。
また、国はダム建設に熱心で、地方に地方債の借金を勧め、国が半分出すからとダム建設を推進してきた。ダムは必ず埋まるし、堤防は必ず老朽化し、決壊の危険もある。地方には借金と保全費の負担が長年残る事になる。「ダムは無駄」とダム建設を中止してきた田中康夫長野県知事が辞めた後は、どうなったのだろうか? しかし、山口県防府市の老人ホームの様な災害を防止するには、全国に5万ヵ所以上の砂防ダムが必要なそうだ。特に、祖先の知恵で人が住まなかったかった危険な場所に、老人ホームが建設され続けている事も問題だ。
いずれにせよ、日本は世界的に稀な水資源国であり、治水を含め、水を上手に使ってきた民族である。

★ 東京と横浜の水資源
 江戸の下町(神田付近?)の風景では、井戸水を利用している。しかし、干潟を埋め立てた江戸では、塩分の多い地下水は飲料に使えなかったそうだ。下町の井戸端には、井の頭池を水源とする神田浄水が引かれ利用されていたそうだ。江戸の人口が増えるに従い、次に、多摩川から玉川上水を経由して、東京の下町を潤した。
戦後、東京の発展と共に、利根川上流に沢山のダムが造られた。例えば、群馬県奥地の八木沢ダムの水は、利根川に流れ込み、館林付近から武蔵水路により荒川に導入され、朝霞水路から朝霞浄水場に導かれる。その後、主に遠く南部の多摩市や町田市に供給されている様だ。近くの小平、国分寺、府中などは小河内ダムを水源とする多摩川水系や山口・村山貯水池から供給されている。
横浜市は、山梨県の道志川上流の森林の20%を保有し、市民ボランティアと協力して保全している。また、2009年からは水源保全税も創設され、県税に上乗せして徴収されている。この道志川水系は、道志導水路から宮ヶ瀬ダムを経由し、海老名付近の相模大関で取水され、横浜市中心地から三浦半島先端まで供給されている。その一方、私の住んでいる横浜市北部は、小田原に近い酒匂川下流の飯泉取水堰から川崎市西長沢浄水場(潮見台)までポンプで送られ、港北ニュータウン方面にまで送られている様だ。相模湖の水はどうなっているのかなと調べると、津久井湖を経由して、前記の相模大堰で合流する分もあるが、川崎国際の近くの長沢浄水場を経由して、川崎市と東京世田谷区や大田区にも給水している様だ。
元々、廃藩置県の直後に、神奈川県の水源不足を考慮して、相模湖から城山付近と町田市とを交換したとの話を聞いた事もあるので、水利用の調整もその時に既に行われたのかもしれない。
そもそも、水に興味を持ったのは、地方の小さなニュースからであった。それは、安くて美味しい地下水を供給していた「生田浄水場(稲田取水場?)」の閉鎖の話だった。川崎市の経済状況から、地下水の取水を中止し、単価が4倍も高い「神奈川県広域水道企業団」の水に切替えると言う事だ。この企業団の水は使っても使わなくても、神奈川県内の市町村で応分の負担をする必要があり、地下水の取水を止めれば、その分の経費だけは浮く計算だそうだ。元々、この企業団は、国のお役所体質で発足したらしく、「お金はいくら使っても良い。後で自治体からいくらでも回収できる。」との発想から、1200億円の借金を抱え、自治体の負担になっている。なお、生田の美味しい地下水は、生田の天然水「恵水」として、生田緑地公園内の日本民家園のそば処「白川郷」で、ペットボトル1本100円で買えるそうだ。この「恵水」も無くなるかもしれない。今の内に味わっておきたい。

★ 世界の水事情
 私は30程前の1975年に、シカゴからフェニックスに飛んだ事があった。その間はアメリカの大穀物生産地帯だ。機中からの景色は、日本の田園の様に、碁盤目状に並んだ畑の風景であった。それが、小1時間もたった時、ふと下を見ると丸が一杯並んでいた。飛行機の速度から計算すると直径300mの円となる。アメリカ中西部の乾燥地帯の上空にいたのだ。両側各々150mの竿を回転させ、地下水をスプリンクラーで畑に撒いているのだ。この方式にも欠陥が出始めているそうだ。地下水の水位が下がり、より深い井戸が必要になり、地下水に少し含まれる塩分が畑に溜まり、塩害が生じて、収量に影響がでている。そんな中で、ばかブッシュがスタートさせたのがバイオ燃料だ。遺伝子組み換えのトウモロコシを燃料工場が高く買うので、農家は小麦や大豆の畑を、水の量が3倍必要と言われるトウモロコシ畑に替えた。ブッシュの言うバイオ燃料は、トウモロコシの種を醗酵し、蒸留し、アルコールを作り、それを車のガソリンに混ぜることで、嫌いなアラブからの石油輸入を少しでも減らそうと言う魂胆だと思うが、収獲用トラクタや蒸留塔の燃料に石油を大量に使うので、あまり得になる話では無い。話は戻るが、どんどん深い井戸を掘るとどうなるか、アメリカ中西部は元々海底であったから、塩水がでてきそうである。2億5千万年前は地球の大陸が一か所に集まりパンゲアを作っていた。その頃の山脈は、アメリカ東部のアパラチア山脈やロシアのウラル山脈だったらしい。それが、間で割れ、現在の大西洋となると同時に、アパラチア山脈の西側の海は、反対からの太平洋プレートと衝突し、隆起し、ロッキー山脈にまでなった様だ。また、恐竜絶滅の原因とされる6500万年前にメキシコ・ユカタン半島に落ちた大隕石では、高さ500mの大津波がアメリカ中西部を襲った記録があるそうだ。その時の海水も地下水に混じっている可能性が高い。
 また、数年前のドキュメンタリーで次の様な話を聞いた。詳しくは覚えていないが、たしか、イギリスのコッツホールズ近くの、のんびりとした田舎町で、豊富な美味しい地下水を利用していた。経営も充分見込めるとして、水道事業を地元の有力者が経営する民営会社に委託する事にした。その後、順調に見えた水道事業会社が更に高い利益を求め、投資に走り、大損をして、外国のウォーター会社に買い取られた。そのウォーター会社は、その町の良質の水を汲み上げ、ペットボトルに詰めて世界中に売り渡し、町の水は無くなったそうだ。
 15年位前に、ラスベガスのコンピュータショウに行かせてもらった事がある。一泊200ドルで、下にカジノがある立派なホテルに泊まった。普段は50ドルもあれば泊まれるそうだ。ラスベガスはネバダ砂漠の真ん中にあるユニーク都市で、砂漠の真ん中に人を集める苦肉の策として、ネバダ州政府が「一定期間州内に滞在すれば、簡単に離婚できる」との法律を制定し、その滞在期間を退屈しない様にカジノを公認したそうだ。数10人しか入れない様な小さな教会が沢山あった。また、日本の2階建ての2DKアパートの様なモーテルも沢山あり、最近は、離婚組以外の観光客でもにぎわっている様子だった。
その帰途、サンディエゴに寄った。ハワイのパールハーバーをひと回り大きくした様な緑豊かな美しい町であった。この町の水源は、遥か東のグランドキャニオンを流れてきたコロラド川を堰き止めた高さ222mのフーバーダムだそうだ。このダムは1929年の世界恐慌時の国家事業として始り、1935年に完成し、当時の大統領の名前を冠したそうだ。この水は期せずも、ラスベガスを経由して、給水されており、ラスベガスのゴルフ場に散水する水を減らして、サンディエゴに廻せと問題になっている様だ。

★ 水争奪戦争
 「小諸なる古城のほとり」で有名な千曲川がある。小諸城から見た最近の千曲川は、ほとりにセメント工場かなんかがあって目障りだ。この千曲川の中流域に、JR東日本の山手線の電力を一気にまかなっていた発電所があったそうだ。2009年の初めに、この発電所の取水量が過大との疑惑がでた。その取水ダムの下流の一部区間の流量が少なく生態系にも影響がでていたそうだ。調査した結果、長年に渡って発電所の従業員が取水量を虚偽記載していたことが判明し、地元の県と国から取水中止を申し渡された。その結果、関東地方全体の2009年夏の電力消費ピークを乗り切れるか問題になったが、2007年7月の新潟中越沖地震で停止していた柏崎苅羽原発を再開させる目途がついて一件落着した様だ。
 聖なるインダス川では、上流の開発による汚染が進んでいるが、下流では数千年前からの伝統的沐浴が今でも行われている。世界保健機構(WHO)の調査によると、開発途上国の疾病原因の80%は汚水によるもので、子供達が8秒に1人ずつ死亡しているそうだ。
 最も悲惨なのは、アラル海であろう。アラル海はカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスタンに囲まれた湖で、1960頃には世界で4番目に大きい淡水湖(塩分濃度が海水の1/10)であった。1940年代の旧ソ連スターリン、フルシチョフ時代の「自然改造計画」の一環として、灌漑工事が行われ、綿花栽培や米の栽培が広く行われた。キャビアなどの漁業を犠牲にしてでも、綿花栽培と繊維産業のGNPの方が有利との国策で進められた。砂漠の真中の砂地に穴を掘っただけのずさんな灌漑工事と水を大量に必要とする綿花と稲作を選択した事もあって、1990年頃には、アラル海の面積は60%と大幅に減少し、塩分濃度は6倍となり、それまでの淡水魚も絶滅した。更に20年後の今日、沿岸各国の国家予算の1%におよぶ再生活動によって、以前の面積の1/10程度の小アラル海のみでも残そうと懸命だ。昔のアラル海沿岸地方は、砂漠地帯のオアシスとして、気温・湿度が安定して、自然の動植物も豊富だったが、湖の消滅によって、付近の気候も大きく変わり、広大な砂漠地帯となりつつある。

★ 日本の森林と水も危ない
 このまま森林破壊が推移すると、100年後には地球上の全ての森がなくなる計算となるそうだ。こんな中、中国の企業や資産家が日本の山林を高値で買い取っているそうだ。山の木を切って、中国の建築資材として持ち出される日がいつか来る。木を切った後の山に井戸を掘り、ペットボトルに詰めて、中国に持ち去る事になる。その時になって山を買い戻そうとしても遅い。
 全ての木が無くなれば、現在20%ある酸素も15%位になるかもしれない。しかし、温暖化の問題を除けば、人類は生き残れるだろう。2億5千年前、多分パンゲアが原因で起こった大規模の火山活動により、酸素が10数%になった時、哺乳類と恐竜が生き残ったそうだ。哺乳類は横隔膜呼吸で肺の酸素取込量を増加させて生き残り、恐竜は肺に入る空気の管と出る空気の管を分け、生き残ったらしい。その結果、恐竜の子孫と言われる鳥類は、余裕で、空を飛べる様に進化したと思われる。
 700万年前に、森林ばっかりの世界で何の不自由もなく暮らしていたチンパンジーから枝分かれして、二足歩行で野原を走り、邪魔な森林を畑にして、進化した人類が、自ら、とうとう森のない世界を実現してしまう事になる。大成功の結果なのだろうか?
以上

「素人が憂える脅威シリーズ」に興味のある方は、以下のメニュー・アドレスから、別のアップも参照してください。
http://kikyossya.at.webry.info/200907/article_1.html
シリーズ①:政権交代後の期待と憂慮
シリーズ②:世界大都市海没の脅威
シリーズ③:日本人大量餓死の脅威
シリーズ④:日本の水と森林壊滅の脅威
シリーズ⑤:世界最終戦争の脅威
シリーズ⑥:世界金融危機の脅威
シリーズ⑦:新型インフルエンザの脅威
シリーズ⑧:宇宙誕生から地球消滅の驚異(2007年記)
シリーズ⑨:地球は誰のもの-地球を守る政治-(2006年記)
シリーズ⑩:人類は何処から来て、何処に行くか(2003年記)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 政権交代後の期待と危惧

    Excerpt:  今年の流行語大賞は「政権交代」となった。祖父の「友愛」を掲げて発足した鳩山内閣で、大臣の雑音は聞こえてくるが、首相の決断は聞こえてこない。唯一、国内の合意を得ないで、海外の気候変動サミットで25%削.. Weblog: 素人が憂える真実 racked: 2009-12-18 20:04