日本人大量餓死の脅威

日本人大量餓死の脅威
2009.08.01 第1版
 毒餃子事件が報道されたのは、2008年1月30日の事であった。中国河北省の天洋食品工場で製造され、JTフーズが輸入し、兵庫で食べた家族に健康被害がでた。警察の調査で冷凍餃子に、農薬・メタミドホスが検出された。調べてみると同じ冷凍餃子で1ヵ月前の12月末に千葉でも被害がでている事が判明した。中国政府は、共同調査に協力する姿勢を示しながらも、中国で混入された形跡はなく、日本で混入されたに違いないと白を切った。中国の食品工場をでた後は、密封されたコンテナーで運送され、日本の2か所で販売された餃子に、日本で現在は市販されていないメタミドホスが、同時に混入する可能性はゼロに等しい。日本の警察も政府も充分な主張をせずに、うやむやに終らせた感が否めない。その半年後に、天洋食品が中国国内で回収した冷凍餃子を、日本語のパッケージのまま、地域の工場の従業員にも配布したらしく。同じメタミドホス被害があった事が報道されたが、中国政府は日本国内での混入疑惑を撤回することなく、今でもうやむやになっている。日本の政府も何をやっているのか、憤りを覚える。
 当初、私は、メタミドホス混入の原因は、汚い工場で播いた殺鼠剤が混入したのか程度と思ったが、工場の映像を見て驚いた。半導体工場のクリーンルームの様に清潔な工場で白衣、白帽、マスクの従業員が作業していた。餃子のタネも皮も清潔な機械で蒸し、もし、メタミドホスが混入していても、蒸発してしまい、あれ程の致死量に近い残留は無いはずとの事だ。考えられるのは、完成した餃子を冷凍し、ビニール製のパッケージに包装する作業現場以外にはないと思われる。天洋食品では11月に何人かを解雇したと聞いたが、腹いせに毒物を投入して、何千kmも離れた田舎に帰った可能性が高い。
 また、当時、中国野菜の農薬汚染問題がテレビで毎日報道された。中国家庭で、野菜を洗剤液に浸して洗っている光景が度々放映されていた。その後、日本のスーパーから中国野菜が消えた。日本製の野菜は1.5倍から2倍高価であったが、汚染に神経質な日本人が買わなく為かと思っていた。しかし、丁度、2008年当初から、中国はそれまでの輸出促進政策にブレーキを踏み、それまでの輸出促進還付税を廃止し、小麦、トウモロコシ、コメ、大豆など穀物と穀物加工品の8種57品目に5~25%の輸出関税を課す事にしたそうだ。


★ 日本の食糧輸入
 日本の食糧自給率は40%とも言われている。米だけは政府の長年の票確保ためか、保護政策を採られてきたので、90%自給しているらしい。最悪なのは、飼料用穀物で自給率は10%少々である。もし、食料品の輸入が途絶えた場合、国民1人当たりの食糧は1日茶碗一杯の米飯、週3回の芋類、数切れの漬物かお浸し、週1回の魚と月1回の肉となるそうだ。これは丁度、終戦前後の私達の食卓である。国産の牛、豚、鶏、養殖魚の飼料の大半をアメリカから輸入している。
そんな中で、ばかブッシュがスタートさせたバイオ燃料が問題だ。遺伝子組換トウモロコシを燃料工場が高く買うので、農家は小麦や大豆の畑を、水の量が3倍必要と言われる遺伝子組換トウモロコシ畑に替えた。ブッシュの言うバイオ燃料は、トウモロコシの種を醗酵し、蒸留し、アルコールを作り、それを車の燃料とすることで、嫌いなアラブからの石油輸入を少しでも減らそうと言う魂胆だ。しかし、収獲のトラクタや蒸留塔の燃料に石油を大量に使うので、あまり得になる話では無い。
さらに、2008年のリーマンショックの前には、ヘッジファンドなどの投機マネーが集まり、原油価格が高騰した。バーレル40ドル位であったものが160ドルと4倍になった。同時に、穀物市場でも投機マネーと農家の出し渋りなどで、小麦、大豆、トウモロコシの価格が高騰した。日本政府は輸入小麦の卸価格を20%値上げし、パンやうどんの価格が10%位上がった。私は月2回、麻生文化センターにコントラクトブリッジに行っているが、その際に利用している「箱根そば」では、360円のキツネそばが400円になった。この「箱根そば」は、新百合丘駅の地下ロータリーバス停横にある小さな立ち食そば屋であるが、小田急電鉄がPASMOで乗れる様になった同じ日から、財布からカードを出さずに、ワンタッチでそばが買える様になった。私が最初に使った非接触電子マネーだった。
また、輸入大豆の高騰では、味噌・醤油・豆腐の生産業者が、流通業界との長年の力関係で、値上げできないで困っている。
アメリカからの大豆輸入が減少する方向にあるので、日本の商社は、ブラジル・アルゼンチンに飛んで、大豆の作付要請や共同開発を申し込んで成果を上げている様だ。今年になって、日本・ブラジルの両政府は、アフリカ農業を支援する為、2009年9月に調査団を派遣するそうだ。これでは遅すぎる。中国はアフリカに首脳や高官を度々派遣し、農業やレア金属鉱山など、多角的支援を取り付けている。元ソ連のウクライナの広大な農地の農業支援でも、先に中国に食い込まれている。日本がアフリカに求めている東京オリンピック誘致協力や国連常任理事国推薦とはわけが違う。

★ 食料の無駄使い
 輸入食料の重量にして半分が、ゴミとして廃棄されているそうだ。うどんやパンなど、日本の水で加工して重量が倍位になった食品もあるし、輸入飼料で育てた鶏の卵や牛肉・豚肉などの様に重量として何分の1かになったものが混じっているので、それを平均化すると、日本の消費食料の1/3が廃棄されている計算になる。特に、賞味期限切れのコンビニ弁当が問題になった。セブンイレブンでは弁当を店長の裁量で仕入れ、売れ残った弁当は無償で廃棄している現状を打開するため、賞味期限切れ2時間前から値引きさせてもらいたいと訴えたが、親会社に拒否されてきた。それに対し、公正取引委員会は独禁法違反との判決を下した。親会社は廃棄品を何割かで買い取るとの提案をしているが、これでも独禁法違反には相違あるまい。たしかに、賞味期限直前に値引きされる事が分かっているとしたら、消費者は買控えしてしまうかもしれないが、大切な食糧は残さないと言う日本古来の美徳をわすれてしまってはいけないと思う。
 私の祖父、渡辺万次郎は、50年前東北大学理学部を定年退職してから、秋田大学の学長を20年勤め、鉱山関係の高等専門学校だった学校を、文部省との折衝を重ね総合大学にしたと聞いている。祖父の風采は痩せて貧乏ぽかったので、学部長であった頃に、学部長を訪ねて来た来客が、かっぷくの良い部下の長谷川教授の名刺を見て、「学部長の谷川さんとお話をしますので、席を外して下さい」と言われたとの逸話を母から聞いた。そんな祖父の食事は、いわしの丸干し、ほうれん草のお浸し、わかめの味噌汁、1膳のご飯があれば充分と言っていた。それでも、百歳マイナスαまで元気に生き、毎日ラジオの教育番組を楽しんでいた事を思い出す。私もその遺伝子の半分位は受け継いでいる様な気がする。

★ 世界の食事事情
 中国人は中華料理、朝鮮人は朝鮮焼肉を食べていると思われている。10数年前、私の息子が韓国の大学に留学していた時、私の家内の同級生達の家族で、ソウル付近を観光した事があった。丁度、韓国建国50年の前の年で、旧王宮の直前に大日本帝国が建設した日本総統府の建物が歴史博物館になっていた。翌年には建国記念事業として取壊された。その旅行の際に、家内の友達の一人が、知合いの韓国家庭に招待されていた。一人意気揚々と出かけて行ったが、最高のおもてなしのお料理は、野菜のキムチだけが何種類もあったそうだ。一般の家庭で焼肉を食べるのは、年に数回だそうだ。中国でも1割程度の富裕層は1個千円の日本産のリンゴを食べ、1kg千円のコシヒカリを食べ、マグロ寿司も中華料理も食べるが、地方の貧困層は月給2万円で都会に出稼に来て、親元に仕送りしている。
 アメリカ在住の映画評論家、町山智浩氏のラジオレポートによると、アメリカ人は遺伝子組換えトウモロコシ漬けになっているそうだ。寡占化した結果、4社の巨大牛肉会社が、草の無い茶色い地面で牛を飼い、運動させないで、トウモロコシを大量に与えて、太らせ、骨ごとミキサーにかけて、牛肉ミンチを作り、マックなどのファストフードのハンバーガーになる。、これとトウモロコシ油で揚げたポテトチップとコカコーラで、ビッグマックセット一丁挙がりとなるそうだ。
 話は、古くなるが、こんな話を聞いた事がある。中南米か何処かに、長寿村があったそうだ。平均寿命95才とか。世界の多数の健康学者や旅行者が20kmの山道を歩いて調査に行った。あまり人気があるので、町は砂利道の簡素な道路を作った。郵便局やコンビニもできた。健康学者がレポートをまとめた頃、長寿の村の平均寿命は世界の平均になっていたそうだ。
 ホモサピエンスは14~17万年前にアフリカで誕生し進化し、3万年位前にアフリカを出てユーラシア大陸に入った。その後のルートの一つは、狩猟民族として、マンモスなどを追いかけ、モンゴルからスカンジナビア半島を渡り、アメリカ大陸に入り、南アメリカの先端まで到達した。別れたルートの一つは北ヨーロッパに渡り進化したアングロサクソン系、もう一つはインドから各地に広まった南方系に大別できる。日本には南方系(熊襲?)とモンゴルからの北方系(アイヌ)の縄文人が先住していた、そこに中国から朝鮮を経由して入ってきた弥生系民族が出雲に上陸し、八岐大蛇伝説を生んだ。八方に攻撃してくる怪物に酒を献上して眠らせた(和解した?)の話であろう。その後、奈良付近まで進出し大和朝廷を発足させ、更に、中部、関東へ進出して、桃太朗伝説も生まれた。風水で鬼門とされている東北方向は、十二支で牛と虎であり、角を持って虎皮のパンツを履いた鬼のキャラクタが想定され、日本海を流れてきた桃から生まれた桃太朗が十二支の南西方向の申(サル)酉(トリ)戌(イヌ)を連れて、鬼退治に行った話になった。(http://oldoak.net/article/45114721.html 参照)
 話はそれたが、他のルートは、稲作を中心にインドからインドネシア、フィリピン、中国南東部、日本へと渡来した農耕民族である。他方の狩猟民族は数時間の労働で大型哺乳類を捕獲すれば、一週間ぐらい楽に暮せ、腐敗を防止するためアルコール漬けにして保存したのであろう。西欧人が東洋人に比べアルコールに強いのは、アルコールに強くないと生きて行けなかった名残であろう。これに対し、農耕民族は日出から日没まで家族全員で労働しても、生きて行くのがやっとの生活を長くしてきた。そこで、東洋人は飢餓遺伝子を持ち、飢餓の状態にスイッチが入ると基礎代謝を低くし生命を維持する様になった。これは、逆に、余分に食べた食事は脂肪として蓄え、いざという時に備えるメタボ遺伝子でもある。また幸いな事に「米」は動物の細胞を作る全ての必須アミノ酸が含まれ、米飯とお新香で殆ど生きられ、たまに魚などでミネラルやビタミンを補充すれば充分な点だ。
アルプスを越えて北部ヨーロッパに入った別のルートの人類は、ここで寒冷乾燥地でも育つ麦作を始めた。麦の欠点は、必須アミノ酸の1種(たしか、リジンだったか?)が不足する為に、常時それを肉などの蛋白質で補う必要がある。そこで森林を伐採して、牧草を植え、牧畜を始めた。また、日照が少なくても骨の発育が損なわれない様に、皮膚のメラニン色素を突然変異で失ったアングロサクソンが生き残った。最近のグローバル化でロンドンの金融市場に出向しているインド人などに骨の病気が多発している様だ。また、逆にイギリスの植民地だったオーストラリアに渡った白人系は、南極のオゾンホールの破壊も手伝って、皮膚ガンが多発している。年月をかけて獲得した遺伝子の進化に逆らう事は難しい。
南方系の一部は、インドネシアから巧みな航海術で、南太平洋のポリネシア人として渡って、ハワイにも到達した。ハワイでは長年水田状の畑でタロイモを栽培し、主食にしてきた。18世紀から世界の列強国はハワイ(特に、マウイ島のラハイナ)を捕鯨基地とて活用してきたが、明治の始めにアメリカはキングカメハメハ大王をだまし、アメリカ領としてしまった。最近になって非を認め謝っているそうだ。栄養価の少ないタロイモに代わって、栄養価の高い麦や肉を食べ始めたハワイ原住民は、そのメタボ遺伝子の結果、小錦や曙の体系になってしまった。ワイキキではあまり見かけないが、隣のアラモアナ海水浴場では、ビーチパラソルの下に沢山見かける。
また、どこから渡ったかは、研究課題(アフリカから直接インド洋を渡ったとか)の様だが、オーストラリアに渡ったアボリジニ原住民は、ライオンなどの猛獣もいなく、比較的狩猟のし易い有袋類が沢山おり、正に、天国に来た様に思ったに違いない。

★ 食料の大半は生殖細胞
 食料を輸入するという事は、水を輸入する事と同じである。牛肉1kgはその10万倍(100t)の水に相当するらしい。牛肉はぜいたくな事に、水で育った穀物を餌にして、生命を保ち、生活を楽しんだ後のご身体を頂戴している事になる。穀物の場合は、収量の2~4千倍程度の水が必要である。米の場合、田んぼで蒸発する分を含めるともっと多くなるかもしれない。トウモロコシは麦や大豆の3倍の水を必要とするらしい。食糧の輸入は、あまり水資源の豊かでない世界の国から、水の豊かな日本へ、大量の真水運んでいる事を意味する。
食料品の中には、鶏卵・牛乳・イクラなどは生殖関係の器官を食するものが結構ある。また、穀類にしろ、果物にしろ、これも元々生殖器官(繁殖の為の器官)である。現在の穀物の殆ど全てが1年草であり、毎年耕し、種を捲き、育て、種を取る。その後の本体は、精々燃料・飼料・肥料としてしか利用されない。その欠点を除くため、樹木型の穀物の研究も進みつつあるそうだ。
また、草食動物は、前記の必須アミノ酸不足をどう補っているのであろうか。牛などの多くの反すう動物は胃の中にセルローズを分解する菌を飼っており、その菌の死骸からタンパク質を取っていると考えられる。他に、反すう動物でない「うさぎ」の場合は、大腸に特殊な菌が生息し、タンパク質を含む特別な糞をするそうだ。その糞だけを区別して排泄できるらしく、その糞を舐め取って食べ、タンパク質を補っているとか。塩分を補うために土を食べる動物も多い。

★ 自由主義経済(市場至上主義)の倒壊
 第二次大戦後の60余年の間、ドルが基軸通貨となり、英語が公用語になり、アメリカが世界経済を主導してきた。その間、自由主義経済と称して、関税を低くし、輸出入制限を抑えてきた。一方、日本政府は日本の田園か(票田か)を守るためか、長い間、米の輸入を禁止してきた。そんな中、1993年米騒動が起こった。ネットのWikipedia情報によると、1993年は全国的冷害で、当時の1000万ドンの需要に対し、収獲量が800万トンを下回る事態となり、当時の細川内閣は260万トンをタイ、中国、アメリカから緊急輸入する事を取り決めた。当時、世界の米貿易量は1200万トンで、その20%を日本が輸入したので、世界市場が大混乱したそうだ。私が子供の頃、粒が長い外米を食べた事があるが不味かったとの印象が残っている。しかし、カレーライスやチャーハンには、このぱさぱさしたタイ米の方が美味しいらしい。この1993年米騒動以来、ミニマムアクセス米と言う最低限の米を輸入する義務が生じた。その後、15年経って、汚染米事件が発生した。その後の豊作続きとコメ需要の減少から、ミニマムアクセス米が政府の倉庫に貯まり、政府は大半を糊などの工業用として、食料以外に供してきた。農薬汚染米やカビが付着した輸入米は輸出国に返却する基本を忘れ、工業用ならどっちも同じと、地方農政局の役人が手続きをさぼってきた。一層悪い事に、本当に工業用に使われているのか、充分に確認しなかったり、見て見ぬふりをしてきた。風評被害を被った美少年酒造など気の毒なケースも多々見られた。1993年を除き日本の豊作が続き、逆に米の消費は減り続けてきた。その間、政府は減反政策を続け、減反した農家に補助金まで支払って、農地を荒地にさせてしまった。せめて、小麦や大豆に転作した農家に、米との差額を支払う様な政治であれば良かった。
 今年、2009年は、1993年と同じ冷夏になる可能性がでてきた。それは、負のダイポール現象といわれ、この数年来、インド洋の海水温に異常が見られるそうだ。なんとなく、海底大循環に異常が現れた匂いがしそうな気がする。今年は更にエルニーニョ現象も見られる。エルニーニョとは、ペルー沖の海水温が高くなり、「かたくちいわし」の豊漁につながるので、「神の男の子」が来たという意味だ。エルニーニョの時は、一方のフィリッピン沖の海水温が低く、太平洋高気圧の発達が弱く、日本の梅雨が長引き、夏の気温が低下する現象だ。昔から時々あった現象で、宮沢賢治が「寒い夏はおろおろ歩く」と詩に書いている。では、なぜエルニーニョが起こるのか? 11年周期の太陽活動の増減にも関係し、夏に太陽が北緯23度の北回帰線の上に来た時、付近の海水が蒸発して、上昇気流が上空で別れて、北に向かって偏西風、南に向かい偏東風となって地球を廻っている。太陽活動が弱いと赤道付近を流れる偏東風が弱くなり、ペルー沖に温かい海水がフィリピン沖に冷たい海水が集まり、ポジティブフィードバックが掛かり、何年か続く事になる。そう言えば、昨年、今年と台風が少ない気がする。台風は28度以上の海水温で、蒸発した水蒸気が、上空に上り、断熱膨張して冷えた空気の保水力が弱まり雨を降らせ、軽くなって上昇した低気圧のへ高温多湿の空気が入ると、ポジティブバックが始まり、どんどん成長する現象だ。陸地に上陸するか、冷たい海水に移動し、ポジティブフィードバックが終結するまで、強風と豪雨をまき散らす。台風は、一人で動けないそうだ。発生当初は、周りの高気圧から吹きだす時計回りのそよ風に乗って進む。進路予想が難しい。その後、北上すると、偏西風に出会い。一気に東に流され、冷たい海域で消滅する。
 日本は米の輸入を制限する一方で、その他の農産物の輸入は、アメリカの意向もあって段階的に開放せざるを得なかった。その結果、アメリカの大農家の安い農産物や飼料が大量に入ってきて、中国からの安い農産物も大量に輸入されてきた。その結果、日本の農業は経済的破壊されていった。若い後継ぎも育たず、年寄りの農地は放置されてきた。その結果、自給率40%まで落ち込んだ。
また、こんな例もある。アメリカの自由主義経済の名のもと、アメリカの飼料メーカーが中国に、ただ同然で牛乳を出荷し続け、中国の牛乳と牛肉の好みと需要とを人為的に喚起してきた経緯もあった。
中国のGDPは、2009年こそ1桁代になったものの、この10年以上2桁の成長率を続けてきた。この率は6年位で2倍ずつ成長する計算になる。2009年にはアメリカ国債の保有高は、日本を追抜いて、中国が世界一となった。先日、アメリカのオバマ大統領と中国の胡主席が会談した。それまでアメリカが主張してきた中国元の為替介入の問題には触れず、今後の2国の発展を握手で結んだ。中国はアメリカの「きんたま」を握った状態で、トップ2Gと言われる状態になってしまった。
 その事はさておき、中国の成長は、仮に中国の人口が13億人として、その1割の1.3億人が、中華料理を気楽に食べられるようになると、世界中から日本人の食糧分が中国人の胃袋に入る計算になる。発展途上国は、インドでも経済成長が著しい。

★ 海洋資源の枯渇
 日本近海は世界有数の漁業資源の宝庫であると習った事がある。南からの温かい黒潮と栄養に富んだ親潮が日本近海で交わるからだ。親潮の栄養の元は、北緯40度付近の釧路近海まで押し寄せる流氷にある。シベリアの奥地より、枯葉などの栄養をたっぷりと含んだアムール川の水がオホーツク海の重い海水の上に薄く乗っかる様に流れ込む。この塩分の薄い海表面が冬の寒さで氷結し、冬将軍の北極高気圧からの北風に乗って北海道沖を南下する。この厚さ1~2mの氷の下では、植物プランクトンが大量発生し、それを食べる動物プランクトン、可愛い「流氷の天使クリオネ」も有名だが、それを食べるより大型魚類の「いわしやさんま」の栄養源となり、更に大型のぶりやマグロの食物連鎖へとつながっている。世界の漁業規制の一つとして、グリーンピース事件で有名な捕鯨禁止は成功している様に見えるが、その他の規制は不十分で、もはや漁業資源の枯渇は避けられない状況にある。世界的なマグロの漁業規制が2009年から始まっているはずであるが、まだその結果は実感できない。20年位前に日本独自でマグロの自主規制を行ったのを記憶している。日本のはえ縄漁船の持主は今後仕事が無くなると思い、漁船を安く売りにだしたそうだ。それを買った台湾の漁師が大量にマグロを取り、焼津沖に列をなし、マグロ冷凍倉庫の空きを待っていると聞いた。当時はマグロを沢山食べる民族は日本人であったが、その後の日本食ブームとダイエット志向により、欧米や中国でも消費量があがり、猫のペットフードと思われていたツナ缶が引っ張りだこになってきている。
 世界自然保護基金(WWF)は、2009年4月に、「大西洋クロマグロのうち、東大西洋と地中海域で漁獲されるマグロが過去5年ほどの間、産卵能力の親魚が急減し、2012年には絶滅すると発表し、全面禁漁を提言している。禁漁期間を無視した違法な漁獲の横行が原因と言う。多分、太平洋側、インド洋、南オセアニアでも、他山の石にして欲しい。
 昔の食糧難時代に大量に取れたイワシの漁獲量は、当時の8000分の1なったと言われて久しく、今や高級魚の一つになってしまった。欧米人が比較的食べていた「たら」が最近ほとんど取れなくなった。北欧から日本に輸出されていた「シシャモ」は、なぜ日本人はメスしか食べないのかと不思議がられ、漁港に捨てられたオスを食べたカモメの被害が報告された事もあったが、最近は北欧産シシャモもスーパーでは殆ど見かけなくなった。モロッコ沖から安く輸入されていた「たこ」もアッと言う間に捕りつくされ、今漁業再生中となった。同じ様に、北海道の「タラバガニ」も日本とロシアが規制しているが、密猟が絶えない。沿岸漁業や養殖漁業も安心できない。今年の九州北部の大雨で、有明海などに大量の栄養分が流れ、赤潮が発生し、養殖ブリが大量に死んだそうだ。また、浜名湖周辺に沢山あった「うなぎ」の養殖池も中国産に負けて、採算が取れない。「うなぎ」は淡水魚と思われるが、マリアナ沖で産卵し、孵化して、シラスウナギとなって黒潮に乗って戻ってくるそうだ。その途上で中国漁船が採集して、中国に持ち帰り養殖して、日本に安く売る。最近は産地表示を義務付けているが、中国産は日本産の半額で買える。表示違反も後を絶たない。
10年以上前のプロジェクトXの番組の話で、根室か羅臼の付近の何処かだったと思うが、地元のわかめと小魚で豊かな海が荒れた原因が、海岸の森の荒廃と思い、帰郷して森の再生に努めた。その努力の甲斐があって、何年かに一度の流氷がやってきて、海底のヘドロを運び去り、豊かな海が蘇ったとの話だったと思う。
同様な海の荒廃が日本各地で起っているそうだ。豊かだった伊勢志摩湾でも、海藻の海底が、磯焼きと称する砂地に変わり、エビ、アワビ、うになどの漁獲量が何分の一かに減っているそうだ。この原因は、護岸工事で付近の森の栄養が流れ込まなくなった為と考えられる。栄養として腐葉土とミネラルとしての鉄鉱石を人工的に海底に埋め、再生の実験を行っていると聞いた。
 日本海では、一昨年と今年、エチゼンクラゲの大量発生に、漁網が被害を受けている。津軽海峡から20cm位のクラゲが入り、海流に乗って秋田沖まで来る間に2m位になるそうだ。原因は東シナ海の富栄養化だろうか、天敵の減少だろうか、海亀はクラゲを喜んで食べる様だが、ビニール袋も見境なく食べるので、絶滅の危機にあるそうだ。でも、昨年が少なかった説明にはならない。
 そんな中で、世界的に規制されてきた「クジラ」が次第に増え、世界の漁業資源の1/4位を食べられているとの予測もあり、ある程度の捕鯨解禁が望まれる。

★ 日本人の大量餓死の時期
 日本人はお金をだせば食糧を買えると思ってきた。しかし、上記の状況から、お金では買えない時代がすぐそこにそこまで来ている。その時は2025頃の何時かにやってくると思う。次のエルニーニョで、日本の寒い夏の年かもしれない。日本の農業生産者の平均年令は65才と言われている。75才と20才の比率が5:1でも平均年令は65才になる。実際、生産者の70%以上が65才以上というのが実情だそうだ。後継者がいない状態がこのまま進むと老齢生産者は働けなくなり、農産ノウハウの伝授も難しく、耕作放棄地の荒廃も進む。そんな時、食糧の輸入が止まる事態になると、食糧は国内で生産するしか手がない。投機的な現象を度外視すれば、現在の貨幣価値で米は2倍、小麦や大豆は4倍になれば採算が取れると思う。現在、一人当たりの食糧費は3万円(一日1000円)位と思うが、これが平均3倍の9万円となると、真っ先に年収100万円前後のワーキングプアを直撃する。月6万円位の基礎年金のみの年寄も暮せない。
 最後に「北にファストフード店」と言う8月1日の読売新聞記事を紹介しておこう。「平壌にハンバーガー店がオープンした。牛肉を使ったハンバーガーが190ウオン、公式為替レートでは1ドルが130ウオンだが、市場では3000ウオンとも言われ、日本円に換算すると6円位となる。北朝鮮の平均月収は3000ウオン(実質月収100円?)程度とされ、庶民が気楽に買える値段ではない」と。

追伸:2009年8月5日の読売新聞の記事を紹介したい。「民主党はマニフェストに記載した米国とのFTA(自由貿易協定)締結について、農畜産物を除外するよう修正する。」様に修正すると言う記事だ。管代表は札幌市で開かれたマニュフェスト説明会で「食糧自給率の向上、地産地消などと矛盾する」と述べたとの事。民主党の当初のマニフェストでは、「米国との間FTAを締結し、貿易・投資の自由化を進める。」となっており、政府与党の石破る農相は「米麦畜産物か壊滅的被害を受ける」と批判していたそうだ。分かっていたなら、自民党自らが、がもっと早く、この様な政策を実行しておいて欲しかった。
以上

「素人が憂える脅威シリーズ」に興味のある方は、以下のメニュー・アドレスから、別のアップも参照してください。
http://kikyossya.at.webry.info/200907/article_1.html
シリーズ①:政権交代後の期待と憂慮
シリーズ②:世界大都市海没の脅威
シリーズ③:日本人大量餓死の脅威
シリーズ④:日本の水と森林壊滅の脅威
シリーズ⑤:世界最終戦争の脅威
シリーズ⑥:世界金融危機の脅威
シリーズ⑦:新型インフルエンザの脅威
シリーズ⑧:宇宙誕生から地球消滅の驚異(2007年記)
シリーズ⑨:地球は誰のもの-地球を守る政治-(2006年記)
シリーズ⑩:人類は何処から来て、何処に行くか(2003年記)

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