世界大都市海没の脅威

世界の大都市海没の脅威
2009.07.20 第1版
 2009年7月10日、イタリアのラクイラ・サミットが終了した。出席した麻生首相は、国内で足を引っ張られ、肩を叩かれ、襟を掴まれるよりは、「ラクでイいラ」と終始ニコニコしていた。特に、記念撮影では、各国の首脳がダークグレーの背広で神妙な顔をしていたのに対し、麻生首相はライトブルーの背広姿で、大ニコニコで一人浮かんでいた。
 このサミットの宣言・声明で、「先進国の温室ガス80%削減」が取り上げられた。一年前に福田首相が招致した洞爺湖サミットで「2050年までに、世界の温室ガス50%削減」を宣言したのに、なんてことだ。両方とも同じ意味との様であるが、アメリカや日本が80%も削減できるのだろうか、出席した首脳は生きてないから関係ないのか? 特に、目途のついていない航空機燃料はどうするのか。国内線は燃料電池駆動のプロペラ機が復活でもするのか、ジェット機は燃焼した燃料の排気ガスの重量(質量)を推進力に使っているので、国際線は水素を燃料とする大陸間弾道ミサイル(スペースシャトルでも)様なものを使うのか、ましてや、先進国の国際線は発展途上国の航空会社に身売して、規制の弱い途上国に任せるなど、本質から外れた解決策を取る様な事にはなって欲しくないと思う。
 思えば、2000年当初、アメリカのメディアは、「化石燃料の炭酸ガスでは地球温暖化は起こらない」とする論文を中心に取り上げ、ブッシュ大統領は「アメリカ経済にマイナス」との理由で、京都議定書からの離脱を正式に表明した。クリントン大統領当時、副大統領であったアル・ゴア氏は、2000年の大統領選挙で、バカ息子ブッシュに僅差で敗れた後、大学院で環境を勉強して、彼の演説をまとめた映画「不都合な真実」を世に出した。アメリカの国民もうすうす気が付いていた温暖化の危機の真実を知ることになった。(私のシリーズもこの真実を拝借している。) つくづく思うには、この時、ブッシュが破れていれば、その後の世界も大きく替っていたろうし、アメリカ凋落へのボタンもまだ押されていなかったかもしれないと思う。
 同じ日、中国の自動車販売台数がアメリカを抜いて一位になったとの記事もあった。アメリカの販売台数が昨年の6割に減って、中国が3割増えた結果によるとの事だ。中国の自動車は全て中国製でないと売れないとの法律があるらしい。数か月前の中国自動車ショーでも、ベンツやホンダのまがい商品、ロールスロイスのそっくりさんまででていた。今のところガソリン車のみの競争であるが、将来の電気自動車に欠かせない希少金属、特にリチウムの産出国である中国は、輸出を制限しており、国連からも非難されているそうだ。日本も米だけでなく、全ての食料品の輸入を制限して、食糧自給率を確保しておいてほしかった。農家が老齢化して、後の担い手もいなくなった現在では、手遅れだ。

★ 既に始まっている温暖化の影響
  炭酸ガスは短い電磁波の可視光は殆ど通すが、長い電磁波の赤外線(熱)はあまり通さないので、地球の気温を上昇させると言うのが温暖化の理由である。温暖化効果ガスは、炭酸ガスだけではない。メタンガスは炭酸ガスの100倍と言われている。勿論、水蒸気も温暖化効果ガスである。曇った日には放射冷却が少なくなることで解る。ところで、大気中の炭酸ガスの量は、産業革命以前に比べ、1.3倍位になっているのだろうか、既に温暖化の影響はいろいろと現実になっている。ヒマラヤやアルプスの氷河は大きく後退し、太陽光線を反射する面積が減っている。シベリアの永久凍土の薄い表土に辛うじて生きてきた針葉樹林地帯で、凍土が溶けて湖になって倒木し、凍土に閉じ込められたメタンガスが空中に放出されている。北極海の氷は毎年大幅に減り、30年前の1/3になったとか聞いている。この北極海の氷は水に浮かんでいるので、アルキメデスの原理で、海水面の上昇には影響しない。もっと大きい問題は、氷が地面の上にあるグリーンランドや南極の氷であろう。これについては、後に述べる。
 温暖化の影響はすでにでているとも言われている。海水の温度が近年1℃位上昇している海域が多く、地球全体の気候に大きく影響すると言われている「チリ沖のエルニーニョ」の様な現象が世界中で起きつつある。アメリカの巨大ハリケーンの影響でニューオリンズが長期に渡って水没した。インド洋のサイクロンではバングラディッシュの大半の国土が水に浸かった。水の都ベニスは、500年前に海底に20m以上の木材を縦にびっしりと突きさし、その上に巨大な都市を作ったと言われているが、ゴンドラ船で有名なサンマルコ広場前の海面が高潮で1m近く海没した。ロンドンでは、海面上昇に備えて、堤防を2mかさ上げする工事を始めた。最も深刻なのは、南太平洋のサンゴ礁の島ツバルで、毎年何回か浸水が起こり、あと数十cmの海面上昇で住めなくなると言われている。

★ 縄文海進の謎
 青森市の近郊で見つかった三内丸山遺跡では、数千人の縄文人が栗の木を栽培して、栗の実を主食にしていたらしい。近くの沼に堆積した花粉を調査して分かったそうだ。その後、突如、この集落は消えてしまったとの事だ。寒冷化したため栗が取れなくなった為らしい。また、巨大な見張り櫓の様な建造物の跡が見つかり、神事に使ったのだとか不思議がられているが、当時の気候は温暖で、遺跡の近くまで海岸がせまり、海からの侵略者を見張る櫓であった可能性もあろう。
 「貝が語る縄文海進」松島義章著の裏表紙には、「約1万年前、地球規模の温暖化に伴って、海水が陸地の奥深く浸入する縄文海進が始まった。房総半島南端の館山湾にはサンゴ礁が形成され、鎌倉の鶴岡八幡宮や大仏境内は波打ち際だった。6千年前には、現在よりも2~3m高い位置まで海が広がり・・・」とある。また、大船や戸塚付近まで入り込んでいた古中村湾が6500年前に突如消えたそうだ。湘南は海に近く、さもありなんと思うが、関東平野の奥深く海が入り込んでいたらしい。例えば、大宮・浦和付近、館林・栗橋付近、筑波・土浦付近まで入江であったらしい。また、東京でもおそらく大森・愛宕山・皇居・靖国神社付近が海岸や島になっていた可能性があると思う。神奈川北部でも、多摩川は武蔵小杉付近で海にそそぎ、鶴見川沿いでは、小机・鴨井・川和付近が静かな入り江であった可能性が高い。
 4~5年前の日経サイエンスの記事(2ページ分のコピーしか手元に無いので詳細不明)によると、「広くて平坦なところは、ある時代の海面すれすれと考えよ」ある。7~1万年前の「ウルム氷期」では、海面が現在より約130m低かったと考えられている。武蔵野台地は海抜約30m、多摩丘陵は海抜約300mの元海岸で浸食された海岸台地だそうだ。私が、アメリカのグランドキャニオンを訪れた時、壮大な光景を見た。同じ高さの平らな高原(草も無いので高岩か)の1000m以上の谷底に、上から見ると小さなコロラド川が流れていた。数万年前の氷河期にカナダからロッキーを覆っていた氷河が融けて溜まった氷河湖が一気に崩壊して削られたのがグランドキャニオンの風景かと思う。
 
★ プレートテクトニクスからの展開
 60年前、私が中学生であった頃、環太平洋火山帯とか、それを取り巻く海溝や巨大地震などについて暗記させられた。その10年後位にはプレートテクトニクス理論でて、全てきれいに説明される事を知った。主に海の中に「海嶺」というマグマが噴き出すところが有って、そのマグマが海底となって左右に離れて行き、数千万年かかって移動して行き、大陸地殻にぶつかりスラブとなってマグマの中に沈みこんで行く現象で、世界に10枚位の板(プレート)が存在すると説明されている。特に、なぜかハワイの地下には移動しない高温のマグマ溜まりが有って、時々、プリュームとして噴き出してくる様だ。ハワイには現在、カウアイ・オワフ・マウイ(西マウイ、ハレアカラ)・ハワイ島(キラウエア)があるが、更にその南東側に新しい噴火が時々あり、新しい島が誕生するのも真近いかもしれない。一方、カウアイ島の西北西側には、ミッドウェイ諸島や海底には天皇海山がつながっている。更にその先、日付変更線付近からその海山が北北西に折れ、カムチャッカ方面に向かっている。その事は、4~5千万年前まで太平洋プレートが北北西に移動していたのが、なぜか急に西北西に変わった事を意味する。これから1億年後には現ハワイ列島は日本列島に上陸するかもしれない。
 話が一寸それるが、霞が関はアメリカの傘の下、アメリカの言うなりと言われて久しい。ところが、日本列島の半分以上が地質学上の「北米プレート」に乗っているそうだ。驚いた。ホッサマグマ(お尻の割れ目の意とか)と言われる静岡・糸魚川構造線の北東側は北米プレートだそうだ。東側では東北から関東への日本海溝に太平洋プレートが沈み込み、日本海側は10年位前に地震性の津波で被害を受けた奥尻島から柏崎付近でユーラシアプレートと接しているらしい。一方、静岡から西側には南方からフィリッピン海プレートが潜り込み、東南海巨大地震の巣窟になっている。太平洋プレートの南西側はフィリッピン海プレートの下にもぐり、その境界に伊豆諸島列島からマリアナ諸島が形成されている。。
 冷たい海底プレートが軽い陸型プレートの下に潜ると、その摩擦により海溝型の巨大地震が起こり、潜り込んだ海洋プレートは地下熱に温められ、溶解し、火山帯を形成する。奥羽山脈などがその典型的例で、日本の山々はほとんどこの様にして形成された。
 日本地図を良く見ると、日本は関東付近で折れ曲がっている様に見える。西側は前橋・秩父・小田原を結び、北東側は前橋・小山・水戸を結ぶ線だ。両方のプレートに押されて、日本列島が折れ曲がり、新潟中越地方に圧力が集まっているのかもしれない。また、久里浜と館山の沖合には深さ千メートルの深い海溝があるそうだが、その真ん中にある割れ目の様な気がする。東京から横浜にかけて、温泉が沢山ある。深さ千メートルのボーリングをすると黒っぽい古東京湾の海底の塩水が丁度良い温度で引き上げられるのだろう。
 伊豆半島はフィリッピン海プレートに乗って南の海から流れ着いたサンゴ礁の島との事、その圧力で、箱根山系が生まれたそうだ。その前には丹沢山系が、もっと前には、秩父までサンゴ礁が乗り上げ、それが秩父セメントの原料の石灰石ではなかろうか。また、別の見方も必要に思う。関東大震災では、三浦半島先端の「城が島」で1mの隆起があった事が知られている。平均的にはプレートの沈み込む太平洋側で隆起し、スラブの沈み込む日本海側では、スラブに引きずられて沈み込む現象があり、多摩丘陵などの古海面は隆起によって今の標高になったと考えるべきであろう。

★ 世界規模の気候大変動
 タイタニック号は1912年の処女航海の途上、北大西洋で氷山に衝突して沈没した。カナダやグリーンランドの氷河が海に落ち氷山となって漂った時、氷山は融けるのだろうか? 実際は、太ると思う。氷点下何度かの氷が海に浮かんだ時、塩分などの不純物の多い水ほど氷点が低いので、その海水の純水に近い部分から氷山の表面に付着する様に氷る。残った海水は当然塩分濃度が高く重い濃縮海水となり沈み、そこに新しい海水が補充され、同じ動きをする。これと地球自転で生ずるコリオリの力によって、右廻りに流れ、暖かいメキシコ湾の海水が、メキシコ海流、北大西洋海流となって、イギリスや北ヨーロッパの気候を温暖にしてきた。北緯50度のロンドンは、樺太中部(戦前の日本とロシアの国境?)に相当する。この重い海水は大西洋底に沈み、赤道を超え、南アフリカの喜望峰を廻り、インド洋や太平洋の赤道付近で浮上し、地球規模の大天然のクーラーとも呼ばれ、地球気候の安定化に寄与している様だ。北大西洋沿岸の氷が融ける事態ともなるとこの海底大循環と呼ばれる海底海流が止まり、ヨーロッパの寒冷化と世界規模の気候変動となると思う。過去10万年周期で繰り返された地球規模の氷河期と間氷期の地質分析でも、年毎の気候が不安定で、農業などによる定住環境が維持できない環境であったと推定される様だ。ここ1万年の安定した気候はむしろ例外的な事らしい。
 この機構に警報がでている。グリーンランドの氷河に異常がでているそうだ。厚さ数百mの氷河が陸から押し出されも、大きな氷山として海に落ちなくなった。海岸近くで粉々に壊れ、海に泡の様に細かく漂っている。おそらく氷河の温度が高くなって、氷河がシャーベット状に変化したのであろう。また、奥地の氷河にも異常がでている。夏には氷河の上に広大な湖が出現する。この湖の何処かに穴ができ、その湖の大量の水が穴から何処かに流れて行ってしまっている。研究者がNASAのマークの付いたプラスチックのあひるのおもちゃ(子供がお風呂に浮かべるやつ)を100個流したそうだ。何年後に見つかるだろうか。また、不毛のグリーンランドに牧草が生え、牧畜もできる様になったそうだ。
 1万年位前には、スカンジナビア半島にも数100mの氷河があり、その氷河の流れた跡が、氷河谷のU字状のフィヨルド地形として風光明媚で有名だ。もう一つの証拠もある。氷河が融けた後、マグマに浮かんでいるスカンジナビア半島は氷河の重さが無くなったので、毎年数cmずつ浮き上がっている。

★ 地球温暖化と海面上昇
 近年、北極海の氷が70%も融けて、氷の上でのアザラシ猟で生活している北極クマの絶滅も懸念される様になった。北極の氷は元々海に浮いているので、アルキメデスの原理で海水の上昇には関係ない。しかし、ヒマラヤ・アルプスやグリンーンランドなどの地上の氷が融けると、海水上昇の原因になる。既に、南極の氷の表面は毎年暖かい時期に融けて、その水がクレバス状になった穴から南極大陸表面まで落ちて、更に地温の影響で寒い時期にも凍らない現象が起きているそうだ。水は良く滑るので海まで延びた氷山が融けた時、その後方の陸上の氷が滑り落ち易くなっているのである。海の上の氷は海水面を上昇させないが、陸上から落ちた氷はもろに海水面上昇につながる。南極の面積は地球全体の陸地面積の8.9%だそうだ。地球全体で海の面積が陸地の2倍とすると、南極大陸の面積は、地球全体の海の約5%となる。南極の標高は約3000mであるから、陸地に平均1000mの氷が乗っているとすると、海面は50m上昇する計算となる。
 現在の温暖化による海面上昇の公式発表では、2100年時点で「うそ?880mm」と言われているが、その条件として、「南極大陸の氷が融ける事は、別途考慮する。」となっている。たしかに、人間の英知で、50mまでの海面上昇は食い止められるかもしれないが、私は50年後の2060年に6mの海面上昇を推定したい。その場合、東南アジアのタイ・バンコックでは100km内陸のアユタヤ付近まで海没するし、日本の東京・横浜・名古屋・大阪・福岡の都市部の大半が海没するであろう。東京では、地下鉄東京メトロの殆ど全ての路線が霞が関付近の都心部を経由している為、交通機関は麻痺し、東南アジアから押し寄せるボートピープルを抑える入国管理施設も機能しなくなると予想する。海に囲まれた日本でも事実上の国境が無くなる事が考えられる。
 この様な予測を「腹に持っている」研究者も少なからずいると思うが、プロゆえに発表できずにいると思う。発表すると世界的パニックを起こす事は勿論の事、発表者の研究生命を犠牲にしかねない。しかし、10年後の2020年頃までには、観測データの積み上げなどから、隠せない事実となってくると推定している。
以上

追記:2009年8月の読売新聞。欧州物語②に「沈み行く水の都」という記事があった。イタリア政府が巨費を投じてベネチア(ベニス)を守る「モーゼ計画」を2014年までに完成させると言うのだ。ベネチアは元々ラグーナ(潟湖)と称する内海湖に作られた人工島だ。そこで、外海であるアドリア海とを、可動式水門78基を設けて仕切ると言う計画だ。しかし、この計画は1998年に中止する省令がでている。年間30回の水門閉鎖の計画では「ラグーナを汚れた”たらい”にする」との理由だった様だ。
 私の予想を加味すると、マイナス6m地帯となったラグーナの水門は、年1回も開けられず、永遠に汚れた”たらい”の水を汲出す事によってのみ、ベネチアを救う運命になろう。

「素人が憂える脅威シリーズ」に興味のある方は、以下のメニュー・アドレスから、別のアップも参照してください。
http://kikyossya.at.webry.info/200907/article_1.html
シリーズ①:政権交代後の期待と憂慮
シリーズ②:世界大都市海没の脅威
シリーズ③:日本人大量餓死の脅威
シリーズ④:日本の水と森林壊滅の脅威
シリーズ⑤:世界最終戦争の脅威
シリーズ⑥:世界金融危機の脅威
シリーズ⑦:新型インフルエンザの脅威
シリーズ⑧:宇宙誕生から地球消滅の驚異(2007年記)
シリーズ⑨:地球は誰のもの-地球を守る政治-(2006年記)
シリーズ⑩:人類は何処から来て、何処に行くか(2003年記)

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