世界金融危機の脅威

世界経済危機の脅威
2009.07.07 第1版
 リーマンブラザーズ・ショックは、2008年6月だったろうか? その直後に発足した麻生政権は、日本への影響は少ないと胸を張っていた。たしかに、20年前に住宅バブル倒壊を経験した日本の銀行は、サブプライムローンにあまり手を出していなかった事もあり、世界の中で相対的に小さい被害で済んだ様だ。しかし、その後、突然トヨタが派遣切と称される非正規労働者の解雇と期末の赤字転落を発表し、政府も「100年に一度の経済危機」と発表した。当初は、就任直後に解散を予定していたらしい麻生総理も「景気回復が第一」と解散を引き延ばしてきた。特に、2009年5月に成立した第2次補正予算では、官僚がダメ元でかき集めた無駄遣いが殆ど丸々通ってしまった感じがする。その中には「アニメの殿堂」など具体的計画すら無いもの、官僚宿舎の修繕費、公共工事の復活など雑多な予算となったと思う。また、年度内には使いきれない予算も多く、それ等は天下り団体、無駄遣いで会計監査院から指摘された緑資源機構など、の債権として複数年かけて取り崩す様なお金まで含まれている様だ。
 また、無駄な道路は造らないと決め、効果対費用が悪いとして、一旦廃止になった道路も幾つか復活した様だ。既に、90%位の工事費用を投入した道路工事を中止するのはもったいないとは思うが、それは廃止を決定する前に議論してほしかった。また、日本高速道路会社が採算に合わない道路も一旦凍結され、それでも必要な道路は、国道として国が作り、無料で開放する事になったはずの道路計画も多かった。その為にかどうか、2009年3月で一旦期限切れとなった石油の暫定税率を衆議院の2/3ルールで、4月末には10年間の長期間(暫定?)の復活をさせ、更に一般化されるはずだった道路特定財源の殆ど、50兆円位を10年間で道路財源として使うと発表した。ところが、そこで「薄皮まんじゅう方式」と言う言葉が飛び出した。これは、高速会社が工事費の10%程度、例えば舗装工事部分などのを負担し、残りの土地買収費や基礎工事を国が金をだす方式らしい。この道路は無料になるどころか、一人前に料金を取られ、国民は道路料金と道路特定財源の両方から二重取りされる事になる。
 民主党が政権を取った場合、マニフェストに「石油の暫定税率の廃止」と「高速道路の無料化」を宣言する様だ。3月末の暫定税率延期法案の時は、退席してまで抵抗したのだから今さら後退するわけには行かないだろうが、民主党の中からも財源不足を心配する意見が上がっていたそうだ。高速道路の無料化の方はどうだろう。道路会社が今後40年位で、料金収入から償還する借金が、40兆円位言われているので、新規の高速道路の建設を凍結すれば、道路特定財源のみでも償還可能かもしれない。もっとも、その前に、すでに料金徴収関連の人件費のみでも採算が取れない高速道路区間も多いと思われるし、並行して無料の国道があって、利用の少ない高速部分もある様なので、そんな所をまず無料化すれば、逆に採算性が良くなると、私は思う。
 一方、首都高速の場合は別の見方が必要かと思う。首都高速は都心部の出口に料金所と渋滞が避けられないためか、全線統一の700円などとなってきたが、2年位前に、ETCの場合にのみ区間料金とする案が示された事がある。首都高速会社が示した案は区間料金を採用する代わりに、ETCを持たない乗用車を全線1200円とするとの案が出され、当時の国土交通大臣も一寸高すぎると述べ、この話はその後、下火となってしまった。首都高速の中央環状と3、4、6、7号線は、東京オリンピック開催に間に合わせる為、片側2車線で急きょ作られ、建設後40年以上経過している。当初の予想を超える交通量で、阪神大震災後の応急処置にも関わらず老朽化が進んでいる。一寸したタンクローリ火災でも大混乱を起こした様に、中規模の関東震災でも一部の通行止めが発生し、大混乱の危険があると思う。江戸時代からの名所、日本橋の上に高速道路があるのは、景観上も良くないので地下へとの要望も強いか、4~6千億の費用が掛かると言われている。いずれ寿命も限界に来ると思われるが、運用しながらの再構築は殆ど不可能と思われるので、東京オリンピック部分は全て、大深度地下道路として再構築するしかないであろう。ソウルの繁華街の上空を通っていた高速道路を地下に埋め、その部分をせせらぎを中心とした散策エリアとした韓国の例も参考にしたい。
 民主党が政権を取った場合、財源が心配と言われているが、民主党のマニフェストによると、財源の年間17兆円を2009年7月1日に発表されたので、以下に記載したい。
歳出改革
公共事業 ダム建設中止、道路整備見直し 1.3兆円
人件費 国家公務員の人件費2割削減 1.1兆円
庁費・補助金 天下り団体への補助金3割削減 6.1兆円
その他 予算査定厳格化、衆議員定数80減 0.6兆円
歳入改革
埋蔵金 基金の取り崩し、特別会計の運用益 4.6兆円
政府資産 未利用地や公務員宿舎の売却 0.7兆円
税制 所得税控除など租税特別措置見直し 2.7兆円
出典:2009年7月2日付読売新聞
官僚が反対しそうな項目が多く、民主党が政権を取る前に、小沢問題の様に、何らかの官僚による妨害が入るかもしれないし、政権をもし取ったとしても、官僚から猛烈な抵抗を受ける事は避けられまい。

★リーマンショックに日本も加担していた? アメリカはブッシュ時代の8年にわたる巨額のイラク戦費に加え、リーマンショックでの金融危機により、オバマ大統領の苦しいスタートとなった。振り返って見ると、1990年当初、日本の経済発展と輸出力を懸念したアメリカは、円高ドル安政策を実行し、1995年4月19日には、1ドル79円75銭の高値を記録した。先日のNHKスペシャルによると、アメリカは、それで安心したのか、その後ドル高政策に切り替えたらしい。ドル高になると自動車などの工業輸出産業にとっては不利になるので、反対も多かったが、それまでもクレジットやローンで、見掛け上豊かな消費生活を送ってきたアメリカ民族にマネーを供給する政策をとってきた。金利を高くし、ドル高を進める事によって、アメリカに投資すれば必ず儲かると宣伝した。実際に、幾つかのファンド商品や投資信託商品が作られ、それらの訳の分からない商品作成担当者が億単位の高額の賃金で引き抜かれる様になった。それに合わせる様に経営幹部の賃金も高くなり、アイアコッカの年収が8億円といった時代になった。これ等の高金利商品に向って世界中からアメリカに金が集まり、一方、成り金を目指したヘッジファンドも余った金を集め運用し、原油市場や穀物市場などの先物投資を始めた。特に、サブプライムローンでは、日本の住宅専用銀行が行った様に、初めの数年のローン返済料を低く抑え、政府の掛け声も加え、貧民層に高級住宅の購入意欲を唆した。住宅バブルをあおり、住宅価格の上昇部分を担保に、更に融資を追加し、元々クレジットに甘いアメリカ人種の特徴を利用して、車やその他の商品を購入させた。世界の原油市場も高騰し、1バーレル160ドルになったのは、リーマンショック直前だったろうか、その後、40ドル位に戻り、穀物市場でも同様な状況をきたした。この結果、ヘッジファンドにあづけた投資家は大損し、ヘッジファンドの信用は大きく失われた。
 私の場合も、1990年当初にハワイのマウイ島にコンドミニアムの1室(72㎡)を購入し、ホテル形式で若干の収入を得がら、毎年2~3回のオーナ利用をしてきた。今後も利用を続けるつもりであったが、15年近くたった中古の価格が、日本での新築価格を超えた事に異常を予測し、2006年の3月に売却した。たしか、3月15日(土曜)に現地の不動産業者と打ち合わせて、17日(月曜)の売り出しと決めたと思うが、その前日の16日に、アメリカ本国から来た若いカップルが、見学に来て購入してくれた。その理由は、前日見た別室と比べ「景観が若干良い事とほんの少し安い」との事で決めてくれた。その後の情報では、アメリカの住宅バブルの崩壊の兆しは、2006年4月だったとの事であったので、ほんのタッチの差で助かった。実際に、その後の住宅取引は急激に低迷し、価格も一年位なだらかな山を保った後、現在は20~30%下落している様だ。
 話は戻るが、アメリカの住宅バブルを懸念する声が2000年当初から上がっていたが、アメリカ政府やFRBの動きは鈍かった様だ。2004年になってFRBのグリースパン議長は短期金利の上昇を打ち出した。今までの経験では、金利を上げれば、借金をして住宅などを購入する動きにブレーキがかかりバブルは収まるのが常識であった。しかし、住宅バブルは一向に収まらず「謎」と言われてきた。しかし、当時、日銀の短期金利を0.1%としていた日本から、安い金利で幾らでも金を集め、それをより高いアメリカの金融投資に使う事ができた。また、日本の年金基金はアメリカのヘッジファンドなどに投資して、基金の維持に奔走していた。また、通称ミセス渡辺と呼ばれていた日本の主婦の投資家が、アメリカの債券に投資して、小遣いや生活費を稼ぐインターネット個人投資家として活躍していた。特に、FXと言われる資本の10倍位の外国債を購入ていた主婦は、例えば1万ドル位を元手に、2、3年の間、月10万円以上の利ざやを稼ぎ続けていたそうだ。政府の年金基金130兆円も2009年3月末で、10兆円の目減りをしたとの報道があったが、むしろ、日本国債を多量に買わされていたので、被害が少なかった方ではないかと思う。
 2009年6月にはGMが倒産して、政府の管理下に入った。1008年末にビッグ3の危機を聞いた時、フォードとクライスラーは何とかなるが、GMはだめだと思った。その理由は、GMの金融子会社がサブプライムローンとそっくりな金融商品を組んで、低所得者にGMの高級車を売って、見掛けの売り上げを高くしていたからだ。金融ショックで返済できなくなった所有者の車を急きょ引き揚げたが、中古は中古でその価値は小さく、中古の投げ売りが、逆に新車の販売に影響してしまった。

★ 小泉政権はアメリカの言いなりだった?
8年にわたる小泉時代は、道路公団や郵政省の民営化、規制緩和などの成果があったと言われているが、一方で母子加算削減や障害者自立支援法、医療・介護の疲弊など社会保障関係の削減で、むしろ弊害の方が多く、福田内閣や麻生内閣で繕う動きがでている。それまでもアメリカの政治介入はいろいろとあった。最近、非核三原則に対し、「事前通告が無いから核の持ち込みはないと言ってきた政府に対し、日本の近海(津軽海峡など)を通過したり、日本の港に寄港するアメリカの艦船は事前通告しない。」とアメリカと日本の間に密約があった事が暴露された。他に、東大坂村教授の提案したTronを日本の学校向けパソコンの標準OSにしようとした際に、アメリカ政府は強烈な圧力で、その普及を妨害した事がある。また、1980年代後半には、当時世界最速と言われていたアムダールのコンピュータの脅威になる「日立、富士通、NEC」を何とか苛めたいとの大統領の進言により、日立の子会社のマキタ電機の電動工具、NECの子会社のテレビ、富士通の子会社?の富士フイルムのフイルムに100%の関税をかけた事がある。デジカメの普及でその影を失ったフィルムの場合、米国のコダックが世界市場で70%のシェアを占めるのに、日本では30%のシェアしかないのは、日本政府の規制で、富士フイルムを保護していると、いちゃもんをつけてきた事もあった。
 話は戻るが、小泉政権以前からも、アメリカから「日本政府への要望書」と称する秘密文書が毎年送られてきて、各種の規制緩和や郵政民営化、自衛隊のイラク派遣、インド洋での給油活動などもその要望書通り行われた事が指摘されている。結局、ブッシュ政権の8年間も小泉内閣8年間も世界に大きな傷跡を残す事になったのではないかと思う。

★ 超失業時代を乗り越えられるのか
イチレイヨン(104)の電話番号案内は有料化されNTTの収益源になっていそうだが、そこにダイヤルすると、山形や沖縄の片田舎の電話局につながるらしい。私も渋谷駅前のお店の電話番号を問い合わせた際に「渋谷は何県の何町か」と聞かれた事があった。また、私のテニスパートナーの本玉さんの話では、彼が新百合丘にNTTの関連会社として、NTTテレマーケッティング社を立上げ、700人以上の声美人を採用したとの事であるが、その会社では、夜から深夜にかけて、デパートや企業の苦情電話が転送されて来るらしい。NHKへの苦情として、沖縄の視聴者から「アインシュタインの相対性原理は間違っている」と子1時間に渡り電話をかけてきた人がいたそうだ。そんなに長電話をしたらお金がかかりますよと牽制したところ、電話料は毎月20万円以上取れれているとの返事だったとの事。話は長くなったが、通信技術の進歩により、より人件費の安い所に仕事が移っていく。会社の人事や庶務、購買などの仕事も半分以上は中国に外注できるとのドキュメンタリー番組もあった。
今回の失業問題は派遣労働法の製造業への規制緩和が元になっているとのご意見ももっともだと思う。特に、非正規労働者を雇用した場合、1年、最長3年で、正規労働者への登用を打診しなければいけない言う部分など、企業側は、受け入れ部門の名称を変えたり、類似の部門に配置換えするなり、別の非正規労働者と交代させるなりと、結局は何の規制にもなっていないと思う。
 しかし、市場のグローバル化によって、工場も農業も、より人件費の安い国へと労働力が移って行く時代となってしまった。ヨーロッパでも東欧諸国の安い労働力へのシフトが起こり困っているし、アメリカでも工業製品の生産は、中国などからの安い輸入に負けてしまった。日本の場合も、非正規労働者のみならず正規労働者の賃金も、負のスパイラルに入り、ますます下がって行く状態は避けられまい。
日本は明治以来の100年に渡り、外国人労働者の移民を拒否し、その意味での鎖国を続けてきた。フィリッピンやインドネシアから1000人余りの介護師(殆どが婦)を受け入れるとの事であるが、涙ほどにもならない。しかし、グローバル化によって日本に在住しなくても、中国やインドに日本の人口の20倍近くの安価な労働力がある以上、如何ともしがたい状況にある。

★ 景気回復の原点を考えよう
私が中学生であった60年前の話になるが、日本の生きる道は「日本には資源が無いので、資源を輸入して、日本の知能レベルの高い人材力で加工し、輸出するしかない。」と教わった。2008年9月に発足した麻生首相は、「100年来の経済危機で解散より景気回復しかない。景気が回復したら3年後に消費税を上げる。」と言い続けてきて、2009年の衆議院任期に迫るまで引きずってきた。この間、景気回復のための巨大な補正予算を衆議院の2/3議席で無理押ししてきたが、国債などで借金をすれば、日本国内での富の蓄積は無いに等しいので、一時的な景気回復しか望めないであろう。同じ事は、日本の土地バブル倒壊後の「失われた10年」でも全く同じで、まもなく失われた20年になる。バブル倒壊後、政府は大量の公共事業に予算を集中し、更には、国の方針により(元はアメリカからの要望に従ったらしいが)、地方公共団体に借金をさせ、スキー場などのリゾート施設の建設や箱もの施設への投資を助長させてきた。その結果、国の借金は800兆円、地方公共団体(県や市町村)の借金は500兆円となり、その金利の負担が重石になってしまった。中央は国の破産状態には目をつぶり、夕張市などの破産自治体をいじめている。国も地方も全て借金状態であるが、日本の預金は1400兆円あると胸を張っている。丁度この預金が廻りまわって、日本郵便(元郵政省の郵便貯金)などを経由して、国や市町村の借金になっているので、国民が一斉にこの預金を引き出した場合、何処にも現金の様なものはないのではないかと思う。この預金も高齢者の蓄積が中心で、現在の若者は、預金も少なく、年金も少ない老後を迎えざるを得ない。政府も所得税収入が減り、借金スパイラルは改善するはずもない。
 では、どうしたら良いのか、輸出を伸ばすのが最善であろうが、貿易摩擦を考慮すると更なる大きな伸びは期待できない。それなら、輸入を減らして、日本国内での付加価値を増やすしか無かろう。世界の貿易自由化の動きは、ここ50年続き、日本もこの恩恵を最大限に受けてきたが、この際、思い切って輸入品への関税を強化するのが良いと思う。石油しかり、農産品しかりである。例えば、全ての輸入品に1%の関税を掛ければ、年間数兆円の関税になろう。ガソリンは1円/リッター程度値上げになり、パンやうどんも1食数円上がるだろう。それには、日本人全員が耐える必要があるが、原油の輸入税はグリーンエネルギー関連の補助、食糧(飼料を含む)の輸入税は農業支援に、100円ショップは110円にして、中小企業の支援に使えば、日本の中に毎年数兆円規模の富が残る事になる。如何なものであろうか?
以上

「素人が憂える脅威シリーズ」に興味のある方は、以下のメニュー・アドレスから、別のアップも参照してください。
http://kikyossya.at.webry.info/200907/article_1.html
シリーズ①:政権交代後の期待と憂慮
シリーズ②:世界大都市海没の脅威
シリーズ③:日本人大量餓死の脅威
シリーズ④:日本の水と森林壊滅の脅威
シリーズ⑤:世界最終戦争の脅威
シリーズ⑥:世界金融危機の脅威
シリーズ⑦:新型インフルエンザの脅威
シリーズ⑧:宇宙誕生から地球消滅の驚異(2007年記)
シリーズ⑨:地球は誰のもの-地球を守る政治-(2006年記)
シリーズ⑩:人類は何処から来て、何処に行くか(2003年記)

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